鬼や幽霊、神が立ち現れる能 女性シテ方が語る、性差を超えた声とは

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聞き手・岸善樹
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男性の身体によって形づくられた能楽。そこで発せられる「声」とは、どういうものなのでしょうか。女性の嘆き、鬼女は、どう演じられるのでしょう。能の世界ではまだ少数派の女性演者、能楽シテ方観世流の鵜澤光(うざわひかる)さんに聞きました。

リレーおぴにおん 「声を感じて」

 室町時代に確立された能楽は、男性の身体によって形づくられました。男性が女の役をしても、歌舞伎の女形のような女らしい声を出したりはしません。能は老若男女をそれらしく演じるのではなく、性をも取り払ったところに存在するといえるかもしれません。

 では能の声とは、どういうものか。高い低いではなく、強くハリのある声が必要です。大切なのは「声と息とを離す」ことだと思います。まず深い息というものがあり、そこから毛羽立つように腹から圧をかけて声を出していく感じでしょうか。

 能の世界では女性は少数派です。私も特に若いころは、男性の強い息にどうついて行けばいいのか、試行錯誤しました。単に音程を下げても、ドスを利かせてそれっぽく発声しても、それは「声」だけのことです。「息で合わせる」ということをしなければならない。いまも日々の稽古の中で自分の身体と向き合い、探究し続けています。

 能の詞章のことを「謡(うた…

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