陸上イージス断念1年半 防衛省がようやく地元で説明会

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佐藤仁彦、中川壮 松山尚幹、成沢解語
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 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」(陸上イージス)の配備断念をめぐり、防衛省が、配備候補地だった秋田、山口で住民説明会を相次いで開いた。断念から1年半。同省側は謝罪の言葉を重ねたが、住民らの疑問や不安は解消されないままだ。代わりに導入予定の代替艦の計画もいまだに定まっておらず、政府関係者は「全てが後手後手だ」と嘆く。

 配備の候補地だった陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)の近くの公民館で23日夜に開かれた説明会。東北防衛局幹部が「地元の皆様には大変心配な思いをさせてしまった。申し訳ございませんでした」と陳謝したが、住民からは次々と厳しい声があがった。

 「なぜこの住宅密集地を選んだのか。住民として一番大事な問題に防衛省は答えていない」「候補地選定で住民の命というファクターはなかったのか」

 陸上イージスの計画停止は、河野太郎防衛相(当時)が昨年6月に発表。迎撃弾発射の際に切り離される推進装置が落下する危険性があり、対策に2千億円かかるとわかったためだ。河野氏は秋田、山口両県を訪れ、知事らに謝罪し、断念について地元住民に説明する考えを示していた。

 防衛省は新型コロナの感染拡大を理由に説明しないまま1年半が過ぎたが、今月3日に開催を急きょ発表。ただ、説明会の開催は山口が21~25日の5回であるのに対し、秋田は23日の1回だけだった。秋田は複数会場の開催や政務三役以上の出席を求めたが、同省はいずれも「調整の結果」として応じなかった。

「バカにしている」憤る住民、政府内でも疑問の声

 「説明を1回で済ませようなんて胸にストンと落ちない。秋田をバカにしているのではないか」。地元の自治会でつくる新屋勝平地区振興会の長谷部一副会長(74)はそう憤る。

 配備断念前の19年6月には、演習場を「適地」とした調査データに誤りが見つかり、直後の説明会では職員が居眠りした。このため住民の間で不信が募り、配備断念後も、住宅密集地に近い演習場が選ばれた背景や断念に至る経緯を説明するよう求めてきた。だが23日の説明会でも、防衛省側は「自衛隊施設で、ある程度平坦(へいたん)で遮るものがない場所を考えたときに、新屋演習場が適地と考えた」などと従来の説明を繰り返したが、住宅地に近接した場所を候補にした理由については明言しなかった。

 今回のイージス計画のように…

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