学校に通ったことない13歳 夢かなわず、物売りの少女になった

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ラオチャイ村〈ベトナム北部〉=宋光祐
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 新興国途上国ではほぼ「ヤングケアラー」の概念が認識されておらず、メディアに出ることもない。しかし、経済状況など環境は違っても、ヤングケアラーと共通する厳しい環境に置かれた子どもたちはいる。外で働く親の代わりに家族の介護や世話をし、親が病気などで十分な収入を得られない場合には外で働く。

ヤングケアラー

 法令上の定義はないが、厚生労働省は、大人に代わり「家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」とし、一般的に18歳未満とされている。18歳からおおむね30代までの人は「若者ケアラー」と呼ばれ、進学や就職との両立などで悩む人もいる。先駆的に支援が進む英国は法律で18歳未満と定義するが、ヤングケアラーの年齢やケアの内容の認識は国によって異なる。

 腕の中で、毛布にくるまれて眠る娘の顔を見るたびに、ハン・ティ・リイさん(25)には思いがこみ上げる。「この子には良い教育を受けさせてあげたい」

 段々畑と集落が点在するベトナム北部のラオチャイ村。少数民族モンのリイさんは13歳から約2年間、6キロ離れた観光地サパで毎日お土産を売って過ごした。

 「女の子は結婚するだけだから、学校には行かなくていい」。ベトナムでも小中学校の9年間は義務教育だが、それが父親の考えだった。同じ集落のモンの家庭は学校に行く女の子が少なく、リイさんも一度も通ったことがなかった。家に残り、母親の代わりに弟の世話や家畜のえさやりをしていたが、兄や裕福な家の子たちが通う姿を見て、学校には憧れていた。

 「私も行ってみたい」。13歳になる頃に決意して父親を説得した。何カ月も訴えて認めてもらったが、直後に父親がバス事故で亡くなった。リイさんは家計を支えるために「物売りの少女」になった。母親が刺繡(ししゅう)したモンの伝統的な生地を持ってサパに行った。

 早朝からバスターミナルで外…

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