「遺骨眠る土を使うな」 辺野古基地埋め立て土砂に7議会が意見書

高井里佳子、永井啓子
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 太平洋戦争末期の沖縄戦の犠牲者の遺骨を含む土砂を埋め立て工事に使わないよう求める意見書が、京都府内の議会で相次いで可決されている。沖縄・辺野古米軍基地建設で沖縄本島南部の土砂を使う計画が浮上したためだ。犠牲者には2500人以上の府出身者が含まれており、基地への賛否を超えて賛同が広がった。

 太平洋戦争末期の沖縄戦は、地上戦が約3カ月に及び、20万人余りが犠牲となった。特に沖縄本島南部は最後まで激戦となり、多くの日本兵や民間人が命を落とした。

 最南端の糸満市摩文仁にある「平和の礎(いしじ)」に名が刻まれる府出身の犠牲者は2546人。沖縄県以外の都道府県で8番目に多い。その多くは激戦地のひとつ、宜野湾市の嘉数(かかず)高台で亡くなったという。その場所には戦後、慰霊のため「京都の塔」も建てられた。

 南部一帯には今も当時の遺骨が残されており、ボランティアらが収集に取り組んでいる。今年10月には、糸満市のガマ(自然洞窟)から兵士や子どもと見られる遺骨が見つかった。

 そうしたなか、防衛省沖縄防衛局が沖縄県に提出した名護市辺野古の新基地建設の設計変更で、本島南部地域を土砂採取地に加えたことが明らかになった。そのため、これら土砂を使わないよう求める意見書が全国の地方議会で可決されている。

 参議院は今月20日までに、沖縄県外の122の地方議会からの意見書を受理したという。

 府内では、9月17日に向日市議会が賛成多数で可決して以降、これまでに府と6市村の議会で意見書が可決された。向日市以外は全会一致だった。

 府議会での可決は今月20日。意見書は自民と府民クラブ、公明の3会派が提出した。自民党は新基地に賛成の立場だが、自民府議団の荒巻隆三代表幹事(49)は「御霊(みたま)や遺族の心情に配慮すべきで、遺骨を含む土砂を使うのは人道的に許されない」と説明した。

 実は、6月議会で共産が「辺野古の米軍新基地建設計画を中止・撤回」を含めた意見書を提出したが、否決されていた。今回の意見書には「このことは、辺野古移設についての議論と混同してはいけない」と明記し、全会一致に。国が主体となって遺骨収集を実施することも要望した。

 長岡京市議会も今月13日、「遺骨が混入した土砂を国内の埋め立てに使用しないことを求める意見書」を可決した。賛成討論したのは保守系会派の八木浩議員(61)。沖縄戦で24歳で亡くなった祖父の弟・義行さんのことを紹介した。本島南部で戦死したとされるが遺骨は見つかっていないという。「(基地問題の)政争の具にならないよう願う」と強調した。

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 「沖縄本島南部は(米軍に)追い詰められて逃げ場がなくなり、多くの犠牲者が出た場所。(遺骨を含む土砂を埋め立て工事に使うという)計画を立てたこと自体が戦没者に対する冒瀆(ぼうとく)だ」

 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん(67)=那覇市=はそう話す。

 具志堅さんは、問題を広く知ってほしいと、今年3月に沖縄県庁前でハンガーストライキをした。7月には全国1743の都道府県や市町村の議会に、本島南部地域の土砂を新基地建設に使わないよう求める要請書も送った。「基地の賛否以前の問題。戦没者の尊厳が損なわれる、人道上の問題だ」と指摘する。

 具志堅さんは言う。「沖縄戦で亡くなった日本兵は、全国から沖縄に送られた若者たち。沖縄だけではなく、全国の問題だ」(高井里佳子、永井啓子)

議会に意見書が提出された府内の自治体

【可決】府、亀岡市京都市長岡京市、南丹市南山城村、向日市

【否決】宇治市、木津川市京田辺市

(24日現在)