フェイスブック、拡散されやすくなった有害投稿 アルゴリズム変更で

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サンフランシスコ=五十嵐大介
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 SNS世界最大手の米フェイスブック(FB、現メタ)が2018年、表示する投稿の順番を決める社内ルールとなる「アルゴリズム」(計算手順)を変えたところ、誤情報など有害な投稿が拡散されやすくなっていたことが、朝日新聞が入手した同社の内部文書でわかった。欧州の政党やメディアからは、拡散を狙って投稿がより過激になり、政治の分断をあおる一端を担ったとの指摘が出ていた。

 FBは18年、「ニュースフィード」と呼ばれる画面上への投稿の表示をめぐる「アルゴリズム」の大規模な変更を公表した。友人や家族間での「シェア」(共有)やコメントなどのやりとりが多く見込まれる投稿に高いスコアをつけ、表示順位を上げて目につきやすくするもの。「有意義な社会的交流」を生むため、と説明していた。

 だが、FBの19年4月の内部文書は、同社が欧州で実施した調査に触れ、「欧州中の政党が、FBのアルゴリズムの変更は政治の性質を悪い方に変えたと訴えている」と指摘。「『シェアのされやすさ』を強調したことで、挑発的で質の低い投稿が優先されているという」としていた。

内部文書「我々のアルゴリズムは中立でない」

 19年12月に社内で共有された文書は、「我々のアルゴリズムは中立ではない」と明言。アルゴリズムの変更で、利用者にとって価値がありそうな投稿より、友人らを通じた先でより多く反応を得られそうな投稿が優先されることがしばしばあったという。その結果、「調査では怒りや誤情報がより拡散されやすく、これらの機能を外せば誤情報やヘイト(投稿)の数字が改善すると示している」としていた。

 20年1月の文書も、FBの変更後のアルゴリズムが「文脈やコンテンツの質についての重要な側面を欠いている」と指摘。友人どうしのやりとりを重視するとしつつ、投稿の質は考慮されていないとして、「シェア」などの反応の重みづけを見直すように提案していた。FB側も対応に苦慮する様子がうかがえる。

 元FB従業員で内部告発者のフランシス・ホーゲン氏は21年10月、アルゴリズムの変更の狙いについて報道陣に「利用者をFB上にとどまらせることに最適化していた。(コンテンツの生産者である)利用者が投稿しなければ、消費されるコンテンツが生まれなくなる。実際の目標は、多くのコンテンツの生産ができるかどうかだった」と話した。

 メタの広報担当者は朝日新聞の取材に対し、18年のアルゴリズムの変更について「家族や友人とのやりとりを促す投稿を優先することによって、利用者の体験を改善することを目標としている。目標を達成するための公式は、新しい調査や利用者からのフィードバックをもとに継続的に修正されている」と回答した。

 内部文書はホーゲン氏の支援者によって米証券取引委員会(SEC)に開示され、一部を黒塗りにするなど修正したうえで米議会に提供された。議会向けに修正された文書を、朝日新聞を含む世界の報道機関が提供を受けた。(サンフランシスコ=五十嵐大介

ポーランドの政党 あえてネガティブ投稿を増加

 2018年に米フェイスブック(FB、現メタ)がアルゴリズムを変えた後、欧州の政党やメディアからは、拡散効果を狙ってSNSの投稿がより過激になっているとの声が寄せられていた。FBの内部文書からは、社内で問題を認識しながらも対応に苦慮する様子が浮かぶ。

 「ポーランドでは、政党はネット上での政治議論を『ソーシャル内戦』と呼んでいる」。19年4月のFBの内部文書はそう指摘した。

 ポーランドのある政党のSN…

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