アライグマ生息域広がる?爪痕から調査 頭数10年で50倍の試算も

友永翔大
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 特定外来生物に指定されているアライグマの繁殖が、新潟県内で広がっているのかもしれない。そんな懸念からNPO法人「新潟ワイルドライフリサーチ」(長岡市)は7月下旬~9月末に、誰でも参加できる方法で分布調査をした。すみかになりやすい神社や寺で爪痕などの痕跡を探し、アライグマの分布状況を調べるものだ。

 約2カ月で35カ所の情報が集まり、そのうち22カ所がアライグマとの関連が考えられ、中でも10カ所の痕跡は可能性が高いとされた。10カ所のうち5カ所は上越市内で、残りは妙高市2カ所、長岡市3カ所という結果だった。

 今年、上越市内で初めて4頭のアライグマが捕獲された。長岡市では、これまで目撃や捕獲の情報がほとんどなかったが、調査結果によって中越地方にもアライグマの生息が広がっている可能性が出てきた。新潟ワイルドライフリサーチ副会長を務める長岡技術科学大の山本麻希准教授は「各地で近しい痕跡を見たことがあった。あまり驚いていない」と語る。

 山本さんは繁殖期の来年3月以降、アライグマと思われる痕跡が見つかった場所にカメラやわなを置き、詳しい生息状況を調査する予定。調査は、県内に広く生息するハクビシンとの混同をどう避けるかという難しさもあるという。

 アライグマは、その生態系への影響の大きさから特定外来生物に指定され、国内での繁殖を防ぐ対象となっている。現時点で県内では深刻な被害は表面化しておらず、そうした状況で具体的な対策は困難、という声もあるが、対策を講じなければ生息数は10年間で50倍に増えるという試算もある。「在来種の被害が分かった時には手遅れ」と危惧する専門家もいる。

 ペットとして日本に持ち込まれ、繁殖するアライグマに罪はないが、生息数が膨らんでからでは対処も難しい。対策としては、狩猟免許の取得者だけでなく、一定の知識がある人の協力も得られる「防除実施計画」を作る方法もある。行政主体による早めの対処の必要性を感じさせられる、この夏の調査結果だった。(友永翔大)

アライグマ

 北米原産の哺乳類。1970年代以降にペットとして輸入が増えたが、飼いきれなかったり、逃げたりした個体が野生化。環境省の調査では、最近約10年で国内で生息域が約3倍に拡大した。雑食のため、農作物や日本固有の両生類や爬虫(はちゅう)類などを食べる。