第5回「こまったさん」作者のオムレツ、とろり 卵への鬼気迫るこだわり

有料記事

中井なつみ
[PR]

 「こまったわ」。こんなセリフを口にしながらも、次々においしそうな料理を主人公が完成させていく児童書「こまったさん」シリーズ(あかね書房)。2022年で誕生から40年になるが、重版が続き、20年には本に出てくるメニューを再現したレシピブックが刊行されるなど根強い人気を誇る。

 作者は「ぼくは王さま」シリーズ(理論社)などで知られる児童文学作家、故寺村輝夫さん。普段の寺村さんも料理をこよなく愛する人だった。妻の玲子さん(87)によると、仕事の合間に、「ちょっと休憩」とでもいうようにキッチンに立った。

 中でも、卵への思い入れは特別だった。

 「こまったさん」シリーズでも4作目にオムレツが登場。「あとがき」では、オムレツを作る上での「3カ条」を熱弁している。

 いわく、「フライパンをだいじにすること。たまごをていねいに、愛情をもってあつかうこと。焼きすぎないこと」。

 丁寧にかき混ぜられた寺村さん流オムレツはしっとり、ふんわりした食感で、バターが香る濃厚な味わい。ナイフを入れたら、「トロリと出てくるくらい」の焼き加減だ。

寺村輝夫さん流オムレツのレシピ

 【主な材料・1人前】

 卵2個、塩・白コショウ少々、サラダ油、バター適量

 【作り方】

 フライパンを温め、油を入れる。

 柔らかい紙で拭き取るようにして、全体に油をなじませる。

 塩・白コショウを加えて卵を溶く。フライパンを強火で熱してバターを加え、溶けきらないうちに卵を入れたら、ゆっくりと卵をかき混ぜ、フライパンは火から離さないように軽く動かすようにする。

 卵に火が入ったら、底をはがすように、卵をフライパンの向こう側にまとめる。まとまったら手前に返し、もう一度向こうへと返す。

 表面に色が付くように少し火を加えてできあがり。

作り直しているうちに…

 代表作「ぞうのたまごのたまごやき」も、卵焼きが大好きな王様が主人公。お祝いの席で国中の人に卵焼きをごちそうしたいと言う王様に、そんなに大きな卵焼きは作れないと周囲は困惑する。だが王様は「ぞうのたまご」をみつけてくるように命令するのだ。

 寺村さんは、家でも、オムレツを作り始めたと思ったら、焼き加減などが気に入らず、スクランブルエッグになることもたびたびあった。

 これを繰り返すうち、あっと…

この記事は有料記事です。残り945文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(秋トクキャンペーン中)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません。

【10/18まで】有料記事読み放題のスタンダードコースが今なら2カ月間無料!