長男の嫁は「揚げ物係」 ミステリー作家が驚いた名字と家のしがらみ

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 「ふたたびの加奈子」「夫以外」などで知られるミステリー作家の新津きよみさんは、作中のトリックにたびたび夫婦の名字を登場させています。自身も当初は事実婚をしており、同じくミステリー作家の夫・折原一さんとは互いに夫婦別姓を望んでいました。作品の背景にある、切実な実体験を聞きました。

 ――著作には、夫婦の名字がトリックの題材に多く登場しますね。

 ミステリーと夫婦の名字って、相性がいいんですよね。

 なぜかと言うと、結婚した夫婦の96%は女性のほうが名字を変えているから。「結婚したら女性は夫の名字に変わるものだ」という思い込みを利用したミステリーが作りやすいんです。

 ネタバレになるのでどの作品とは言えませんが、何度も登場させています。

 ――ご自身の経験も反映されていますか。

 小さい頃から本が好きで、ミステリー好きだった父の書斎に入って1冊ずつ抜き出してきて読んでいたんですね。で、本を開くと、どの本にも最後に「新津蔵書」というハンコが押されていました。

 それがとてもかっこよくて、高校生の時から、いつか自分のお金で本を買ったらこれを押したいなと思っていました。

 でもそう考えた直後に、「あ、そうか。私は結婚したら母みたいに名字が変わるんだ。そしたら新津の自分が失われるのかもしれない」と思って、強い喪失感がよぎりました。当時は今よりもっと、女性が結婚したら名字を変えるのは当たり前でしたから。

 ――それが嫌で、ペンネームで活動できる作家業に?

 大学を出てからは旅行会社に勤めて、そのあと小説家になったのはたまたまです。ただ、書く仕事に就いてペンネームに旧姓を盛り込めば、結婚しても生まれたときの名前のままでいられるというのは要因の一つではありました。

 ――結婚の際は、悩まれましたか。

 30歳で作家デビューして、33歳で結婚しました。このとき、やはり改姓の問題にぶつかりましたね。でも、婚姻届は出さなかったんですよ。

 ――それは、名字を変えない…

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男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[記事一覧へ]