ロングヘアを切り、酷寒ロケに臨んだあの日 追悼・神田沙也加さん

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 札幌市内で18日に急逝した俳優・神田沙也加さん(享年35)は14年前、HBC北海道放送が制作し、TBS系で放送されたドラマに主演していた。ドラマの演出を手がけたHBCディレクター河野啓さん(58)の目には、厳冬の北海道で過酷なロケに挑む神田さんのひたむきな姿が焼き付いているという。ありし日をしのび、河野さんが手記を寄せた。

     ◇

 神田沙也加さんが札幌で亡くなって1週間。今、この原稿と向き合っている。

 2007年、彼女は私が企画・演出したスペシャルドラマ「たった一度の雪~SAPPORO・1972年~」で主演を務めてくれた。当時20歳だった。

 SAYAKAとしてデビューした彼女が、約1年半の休養期間を経て本名での芸能界復帰を宣言したのは、前年の秋だった。

 「彼女しかいない……」。私はすぐに出演のオファーを出した。

 実は彼女とはそれ以前に接点があった。2003年、私の作ったドキュメンタリー番組が原案となって制作されたTBSの連続ドラマ「ヤンキー母校に帰る」のロケ現場で言葉を交わしたことがあった。モデルとなったヤンキー先生の変貌(へんぼう)が関係者を落胆させ、今後再放送されることがない「いわくつきのドラマ」だが、生徒役の若い俳優たちは雪のように純真で、聖火のように燃え盛っていた。その一人が沙也加(当時はSAYAKA)さんだった。ロケ中に17歳の誕生日を迎え、スタッフが現場でケーキをプレゼントしたのを覚えている。

 しかし私が彼女に「たった一度の雪」への出演を依頼した理由は、そうした縁からではない。

 主人公の設定が、そのまま沙…

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