第1回夏休み明けにがりがり「給食ないから」 子どもの貧困、首相へつなぐ
12月のある夜、東京の下町、葛飾区内のある一室。めっきり冷え込んだ外とは対照的に、その部屋の空気は熱かった。
一つのテーブルに先生と生徒が一対一、または一対二で向き合う。先生は大学生。生徒は小学生から高校生だ。
「日本のカレンダーではお正月は1月1日なのね。だからその前後はお祝いするからお休み」。外国ルーツの生徒にそう説明する先生の向かいで、「ヨウ素液にでんぷんを入れたら青紫色に変わります」と理科を教える。さらにその横では「彼女は雑誌のほうが好きです、は何て言う?」と英訳を聞いている。
NPO法人「Learning for All」(ラーニング・フォー・オール、LFA)が開いている学習拠点の一つだ。
子どもの貧困をなくすことを目的に、2010年に事業をスタートした。いまは東京都や埼玉、茨城両県で学習拠点や居場所、子ども食堂(コロナ禍では食べ物を配るフードパントリー)計29拠点を運営する。
始まりは学習支援だった。代表理事の李炯植(リヒョンシギ)さん(31)は大学で教育哲学を専攻。3年生の時、学習支援を行うNPOでインターンをした。現場を知りたいという軽い気持ちだったが、子どもの現状にがくぜんとした。
社会の分断が進んでいるように見えるいま、手を取り合ってつながろうとする動きや人たちを連載で紹介します。セーフティーネットの最前線にいる李さんからは今の社会や政治はどのように見えているのでしょうか。
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