潜水半日、装備の重量50キロ 過酷な漁が受け継ぐ「瀬戸の宝石」

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阪田隼人
【動画】冬の味覚・タイラギ貝、潜水士の漁に同行=阪田隼人撮影
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 鋭くとがった大きな貝殻は、槍(やり)を連想させる。冬の味覚として知られる二枚貝のタイラギ。休漁が続く地域もあるほど希少で、瀬戸内は国内有数の漁場だ。

 漁が解禁された12月上旬。瀬戸大橋が一望できる本島(丸亀市)から、伝統の潜水漁に同行した。

 タイラギは、水深10~30メートルの海底の砂泥に、とがった先端を突き刺すようにして埋まっている。成長すれば40センチにもなるが、砂から見える部分はほんの数センチ。これを、潜水士の資格を持つ漁師が潜り、「カギ」と呼ばれるとがった金具を殻に突き刺して引っかけ、一つずつ抜き取っていく。

オニカサゴの毒針に刺され…

 出港から数十分。潜水服に身を包んだ大石一仁さん(25)が、胸と背中におもりを背負い、鉄製の靴とヘルメットを装着した。海流に流されないためとはいえ、総重量は約50キロ。さながら宇宙飛行士の姿で、海底に潜っていった。

 まもなく、数十のタイラギが入った網だけがロープをつたって船にあがってきた。仲間の漁師が貝を開き、手際よく身を外していく。大石さんは潜りっぱなしで次を探す。これを半日続ける。漁を終えた潜水士は、船に備え付けの減圧タンクに数時間入り、体を休める必要がある。

 過酷な漁だ。さらに、この日は視界が悪く、大石さんがオニカサゴの毒針に刺され、病院に直行するという事態に。冬の海の厳しさを肌で感じた。

 後日、海底での捕り方を尋ねた。砂がわずかに隆起しているポイントを見定めているのだという。ただ、初めての頃は、海流の強さに身動きをとること自体が難しい。「同じ場所で潜っても、個人の経験と技術で捕獲数に大差がつく」。うまく捕れずに泣いたこともあるそうだ。

「過酷だけどハマっちゃう」捕る瞬間

 大石さんは、タイラギ漁師の…

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