閉店後のカフェで「寺子屋」 福島大生らが子ども支援
閉店後のカフェで大学生が子どもたちの学習を無償でサポートする「寺子屋べいす」が今月半ば、福島市内で始まった。予約は不要で、年明け以降週1のペースで開かれる予定。学生らは「子どもたちがふらっと立ち寄れる学びの場にしたい」と話す。
閉店の表示が出された福島市大町のカフェ「Vase」。店内には柔らかなオレンジの明かりがともり、心地よいジャズミュージックが流れるなか、子どもたちが机に向かっていた。傍らで大学生が見守り、時折質問に答える。
この取り組みは、NPO法人「Cafe de寺子屋」が2018年に山梨県で始め、全国に広げている。福島は6都県目で、東北では初めての拠点だ。
活動に共感した福島大2年の嶋崎絢さん(20)が今秋から準備を進めた。友達に声をかけたり、SNSで呼びかけたりして、福島大や福島学院大の学生ボランティア8人を集めた。何軒かのカフェにかけ合った末にたどり着いたのが「Vase」。店長の斎藤友希さん(25)が「若い子の活動を応援したい」と場所の提供を快諾した。
初日の16日は小中学生4人が訪れた。英文の書き写しと立体の計算に取り組んだ中学1年の佐久間星名(せな)くん(12)は「家と雰囲気が違い、落ち着いて勉強できた」という。古関陽光(ひかる)くん(12)は「大学生がやさしく教えてくれた」。いつもと違う環境での勉強は、はかどったようだ。
嶋崎さんは「『先生』というより、年の近い『お兄さんとお姉さん』。勉強のサポートだけではなく、学校の出来事を聞いたり、進路の相談に乗ったりして、子どもたちにとって居心地のいい場所をつくりたい」と話す。
「寺子屋べいす」の対象は小中高校生で、自分で教材を持ち込んでもらう。開催は毎週木曜の午後6時~8時で、次回は1月13日の予定。店の都合で開けない場合もあり、事前にツイッター(@FS_de_terakoya)やインスタグラム(@fs_de_terakoya)で開催情報を発信する。問い合わせはinfo@cafe-de-terakoya.or.jp。(酒本友紀子)