第6回「この男はゴルゴに依頼しない」師匠さいとう・たかをさん最後の教え

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太田啓之
写真・図版
今こそ学ぶゴルゴ13 デューク東郷の教え⑥よこみぞ邦彦さん
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 現代の古典「ゴルゴ13」を徹底的に読み込むこの連載。今回は、ゴルゴを絶体絶命の危機に追い込む脚本を多数手がけ、ファンからの支持も高いよこみぞ邦彦さんに、創作の裏話や自らのゴルゴ観、そして師匠で仕事のパートナーだったさいとう・たかをさんについてのエピソードを聞きました。初公開の秘話です!

【連載】今こそ学ぶゴルゴ13 デューク東郷の教え(全6回)

2021年9月に亡くなったさいとう・たかをさんが残した巨大な遺産にして、現代の古典である「ゴルゴ13」。ゴルゴとはいったい何者なのか。なぜ、私たちは彼に魅了されるのか。半世紀以上ぶれない彼の生き方から、今学べることは何か。プロデューサーの鈴木敏夫さん、作家の佐藤優さん、漫画家の竹宮惠子さん、「ゴルゴ13」唯一の女性脚本家・夏緑さん、最多のゴルゴ脚本を執筆してきたよこみぞ邦彦さん、「最強のゴルゴ通ライター」成田智志さんと考えます。

 ――ゴルゴのベストエピソード集「改訂版『ゴルゴ13』リーダーズ・チョイス」で選ばれた13作品中、「病原体・レベル4」と「1万キロの狙撃」がよこみぞさんの脚本です。前者ではゴルゴが致死性のエボラウイルスに感染し、後者では腹に鉄パイプが突き刺さる。「ゴルゴは死なない」と頭では分かっていても、最後までハラハラさせられます。

 膨大なエピソードの中には、ゴルゴ本人がほとんど登場しないエピソードもありますが、僕の個性が一番生かせるのはやはり、死地をくぐり抜けるゴルゴを描くことだと思っています。その意味で、自分自身にとってエポックとなったのが、1996年の「白龍昇り立つ」(単行本119巻)というエピソードです。

 ――ゴルゴが高度8千メートル以上のエベレスト山中で、高所登山のエキスパートである中国山岳部隊と戦う話ですね。

 山岳地帯でのサバイバル戦を書きたくてリサーチしていたのですが、当時の登山に関するノンフィクションには、僕が知りたい「高山で1人生き延びるための知恵」はほとんど書かれていなかった。諦めかけていたところ、山野井泰史さんというクライマーが単独で、あるいはごく少人数だけで登る「アルパインスタイル」と呼ばれる方法で、7千~8千メートル級の高山に挑んでいることを知りました。

元々は漫画家志望で、最初は絵のスタッフだったよこみぞさん。クビを覚悟したある出来事から脚本への道が開けたそうです。記事後半では、「天才を越えた化け物」というさいとう・たかをさんとのやりとり、よこみぞさんの脚本をさいとうさんが変更したほろ苦い思い出についても語ります。

 会って話を聞くと、「雪崩が…

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