仙台白百合女子大、震災の体験文集を発行

石橋英昭
[PR]

 【宮城】仙台白百合女子大学(仙台市泉区)が、在学生や卒業生、教職員が「3・11」を振り返る寄稿文集「東日本大震災の記憶」をまとめた。まだ幼かった10年前に抱いた恐怖や不安、多くの人に支えられ災害を乗り越えた思いなどが、詰まっている。

 カトリック系の大学で、東北各地から集まる学生数は震災当時で1100人余り。実家が全壊した学生が15人いたほか、大学も壁にひびが入るなどした。近くに住む最大100人ほどの学生が教室で1週間、避難生活を送った。

 文集づくりを提案したのは日本文学を教える大本泉教授。昨年、2年生の授業の課題で田中緋香里さんが出してきた文章が、きっかけだった。

 福島県南相馬市出身の田中さんは、原発事故の影響で仙台に家族で避難。差別や心ない言葉を恐れて「福島出身」と言えない時期があったことなどを、つづっていた。大本さんは「様々な思いを抱えたままの人がいる。きちんと残さなければ」と考えた。

 文集には約100人の寄稿がおさめられた。いまの在学生は当時小学2~5年生。震災にあった場所も状況も様々だが、記憶は鮮明だった。

 停電の中、ロウソクをともして食事した体験を紹介した小笠原果穂さん(現2年)は「私たちの世代が、2011年3月11日を『自分の言葉』で伝えられる最後の世代」と記した。

 水くみや買い出しに何時間も並んだという末永杏さん(4年)は、「何げない普通の生活を送れていることが、どれほど幸せなことか」と書いた。

 深い悲しみもつづられている。

 健康栄養学科の1年生1人が、名取市閖上で祖母と津波の犠牲になった。クラス担当の佐々木裕子教授は安否確認に奔走し、安置所で遺体と対面。「これが神様の与える試練?」と葛藤したと明かした。遺族からは娘の学費分400万円が寄付され、名前を冠した奨学金が創設されたという。

 文集は700部作成。100部は希望者に無料で配る。申し込みは同大図書館にメール(library@sendai-shirayuri.ac.jpメールする)で。石橋英昭