ビジネスシーンで数学の必要性が高まっている。経営戦略や販売促進にビッグデータや統計学が活用されるようになり、社内の議論で数学用語が登場することも珍しくない。実際、数学は社会でどれほど活用され、社会人は数学をどう学べばいいのか。企業で数学を使った実務に携わりながら、執筆活動を通じて数学を学ぶ必要性を説く冨島佑允さん(39)に聞いた。(嘉幡久敬)
――このところのニュースには、数学の話題があふれていますね。
たとえば新型コロナウイルスのニュースでは、感染がどこまで拡大するか、人と人の接触をどれほど抑えれば感染が収まるか、といった知識はすべて数式から導くことができます。感染増加の予測グラフが急激な上昇カーブを描くのに驚く方もいるでしょう。あれは「べき乗」という数学のしくみが働くからです。仮に1人の感染者が翌日に2人にうつすとすれば、わずか10日間で感染者は1千倍に、指数関数的に増えるのです。感染状況のシミュレーションのもとになる数理モデルには微積分学などが使われています。コロナだけではありません。高層ビルやジェット機は言うに及ばず、多くのものが緻密(ちみつ)な数理計算に支えられています。
――私たちの生活にも数学は…