閉園間際、夢かなえた8歳のヒーロー 親子を救った「特別な場所」
板倉大地
間もなく65年の歴史に幕を閉じる福岡市東区の「かしいかえんシルバニアガーデン」で、一人の少年がヒーローショーのステージにデビューした。5歳から3年間毎週のように通い詰め、いつしか自分もそこに立ちたいと願うようになった夢の舞台。閉園間際に、ついにチャンスが巡ってきた。
12日昼過ぎ、各地のご当地ヒーローが集ったショーで、アクションを終えたヒーローが呼びかけた。「それでは、景狼(かげろう)くんに登場してもらいましょう」。舞台袖から、オオカミのかぶり物をして腰に刀を差した小さなヒーローが現れた。福岡市内の小学2年生、小寺主真(かずま)君(8)だ。
客席の子どもたちをステージに招いての伝言ゲームで、背丈があまり変わらない子どもたちにお菓子を配った。さらには、ステージから観客席に大きな風船を投げたり、ポーズを決めて写真撮影に応じたり。
大役を終え、かぶり物を脱いだ主真君は「緊張したけど、皆が応援してくれて楽しかった」。見に来ていた友達から「ポーズを考えていて、仕事が早いね」と褒められると、照れ笑いを浮かべた。母親の里沙さん(34)も「かっこよかった」とたたえた。
2人にとって、かしいかえんは特別な場所だ。
母が徹夜、本番の朝にできあがった衣装
里沙さんは主真君が3歳のと…