生活保護、夫の不倫…現実が見られない 母が子を衰弱死させるまで
2020年1月、千葉県市原市のアパートの一室で生後10カ月の赤ちゃんが衰弱死し、のちに母親が逮捕・起訴された。
遺体はやせ細り、あばら骨が浮き出ていた。同じ月齢の乳児の平均体重は8~9キロ。一方、亡くなった赤ちゃんはわずか3.5キロ。部屋は足の踏み場もないほど衣類やごみが散乱し、粉ミルクの缶にはうじがわいていたという。小さなアパートで、何が起きていたのか。
21年9月29日、千葉地裁の703号法廷で開かれた裁判員裁判の初公判。保護責任者遺棄致死罪に問われた被告(25)は、黒っぽいジャージーとスウェット姿でうつむきがちに入廷した。
検察官が起訴状を読み上げた。20年1月3~25日ごろ、市原市内の自宅で十分な食事や水分を与えることなく、当時生後10カ月の次女を放置し、低栄養と脱水によって衰弱死させた、とする内容だった。
裁判長「起訴内容に間違いはありませんか」
被告「間違いないと思います」
長女を出産「一目見ただけで涙が出た」
消え入りそうな声だった。弁…
【視点】裁判長の「子どものためにも、自分のためにも、周りをもっと頼ってもいいんじゃないか」は確かにおっしゃるとおりですが、記事を読むと周りを頼ること自体が難しかった背景も垣間見えるように思いました。夫の訪問を拒んだ理由は不倫で「汚い」と思ったことに

きょうも傍聴席にいます。
事件は世相を映します。傍聴席から「今」を見つめます。2017年9月~20年11月に配信された30本を収録した単行本「ひとりぼっちが怖かった」(幻冬舎)が刊行されました。[記事一覧へ]