駒沢大・田沢廉はレース前まで続けた 高校恩師は「普通やらない」

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山田佳毅
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 恋愛感情に近かったかもしれない。

 全国高校駅伝の常連校でもある、青森山田高の河野仁志監督(43)は、いまや駒沢大のエースとなった田沢廉(れん)(21)をスカウトした6年前のことを思い出す。

 「何としてでも獲得しないといけない。真剣にそう思った」

2022年1月2、3日に行われる第98回箱根駅伝で、最も注目されている選手が駒沢大のエース田沢廉です。大学3年生にして男子1万㍍の日本歴代2位の記録を持つトップランナー。彼を育てた恩師が、教え子との思い出を語ります。

 監督就任3年目の2015年だった。

 東北地方でも上位に入る足の速い中学生が、県内の八戸市にいる。評判はすでに耳に入っていた。ただ、生徒本人に直接、接触してスカウト活動をすることは禁じられている。

 どうしようか――。

 考えた末に出した結論は、「足で稼ぐ」だった。県の内外、大会の大小に関わらず、4月からラブコールを送る行脚が始まった。

 田沢の出場する大会にはすべて出かけ、中学陸上部の顧問や指導者の近くに立った。「ちらっとでも自分の存在に気づいてくれたらいい、くらいの感覚。そのうち『この人、毎回いるな』ってなると思った」

 8月に田沢が山形県で開かれた大会に出場した時は、青森県内でチームの合宿中だった。

 「ちょっとおれ、山形に行ってくるわ」。そう言い残し、午前4時に車で出発。会場で田沢の走りを見て、その日のうちに合宿へとんぼ返りした。もちろん、田沢とは口をきいていない。

 「見ているぞ、というオーラを出していただけ。彼が気づいたどうかは分からない。聞いたことがないので」と笑う。

逆風が吹いても

 だが、折あしく、とでもいうべきか。

 この年、青森山田高は県大会…

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