社長100人が博士なら地域社会が変わる 三重大・西村教授、出版

大滝哲彰
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 博士になった社長が地域社会を変える――。地域にある様々な課題解決に取り組む人材を育成する三重大地域イノベーション学研究科の西村訓弘教授(社会学)が、書籍「社長100人博士化計画」(月兎舎)を出版した。企業の研究員、ベンチャー企業社長などを経て大学教授になった自身の歩みや、同科の取り組みをまとめた。

 同科出身者の社長や大学教員、行政職員、大学生らでつくる「地域イノベーション学会」が設立から10周年となるのを機に、会長の西村教授が執筆した。

 南伊勢町出身の西村教授は、同科設立の以前から「地域の可能性」に着目し、特に地域の社長に目を付けた。社長を学生として迎え、事業に関する徹底的な議論を重ねることで、「社長が自分たちの事業を客観的に見つめる機会になる」と言う。

 また、社長が博士号を取得することにこだわる。だが、専門的な知識を身につけることが重要ではないという。「博士号を取得する過程で培われた『考える力』が重要だ」と説く。

 書籍では、実際に博士号を取得した県内の社長たちを紹介。その一例として紹介している、津市の「浅井農園」では「トマトのハウス栽培に要する冬場の暖房費が高い」という悩みを抱えていた。そこで西村教授は、搾油の過程で、大量の熱湯を毎日捨てていた製油会社とつないだ。結果、「熱を欲しがっている農家」と「熱を捨てている企業」が連携することで合意。「地域イノベーションの好例」とまとめた。

 西村教授は、こうした社長たちが地域に100人規模で集まることで「地域社会は大きく変わる」と話す。「100人がカギじゃない。社長の傘下に抱えている全ての人に、社長自身が影響を与えていくことが重要。そうすることで地域全体の社会熟度が高まるはず」

 書籍は県内の主要書店などで購入できる。税込み1320円。問い合わせは月兎舎(0596・35・0556)。(大滝哲彰)