サンデル教授と未来の「働く」を考える 最高の民主主義に続く道とは

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聞き手・牛尾梓
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 外出自粛が呼びかけられたコロナ禍。日常生活の供給網を支える仕事は、その重要性とは裏腹に、待遇には恵まれず、将来的には人工知能(AI)やロボットに代替される可能性も指摘されています。

 近著で、社会の格差を「能力主義(功績主義)」の側面から説いた米ハーバード大のマイケル・サンデル教授は、「労働の大切さと対価の必要性を議論するべきときが来た」と指摘します。

 ――新型コロナの流行で、様々な「社会的弱者」が顕在化しました。

 コロナ禍で見えたのは、自宅でオンライン会議をし、感染リスクから身を守りながらテレワークができた人たちの一方で、そういう「ぜいたく」ができない労働者もいた、ということです。

 ロックダウンの中、自宅の玄関まで食料品を届けてくれた配達員のお陰で、私は混雑したスーパーに行く危険を冒さずに済みました。リスクを引き受けてくれたのです。私たちはそれを忘れてはいけません。

 自宅で仕事ができるような労働者は、多くが病気になっても適切な医療を受け、有給の病気休暇を利用できます。「仕事を休んだら家族を養えなくなる」という不安は基本的に無いでしょう。

 でも、こうした待遇は誰でも受けられるわけではありません。

「成功者」たちは、「努力し、能力が高いからこそ得られた結果」と信じて疑いません。こうした「行きすぎた能力主義」に、コロナの流行が新たな疑問をもたらしたとサンデル教授。これから目指すべき「最高の民主主義」とは――。

 ――「リスクを引き受けてくれた」人たちの待遇は決して良くはありません。

 コロナは、私たちの日常生活…

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    峯村健司
    (元・朝日新聞編集委員)
    2022年1月3日10時34分 投稿

    【視点】ハーバードに在籍していた7年前、サンデル先生と議論した時よりも、今の民主主義、自由主義への危機感が強まっている印象を受けました。 約40年間に渡って米国経済を支えてきた「市場信仰」は、リーマン・ショックの時ですら生き残ってきましたが、新型

連載コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線

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