ランニングポリスがニューイヤー駅伝出場「どんな人も逃げ切れない」

荻原千明
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 2022年1月1日に群馬県で開かれる全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)に、大阪府警の陸上部が6年ぶりに出場する。要人警護やイベント警備を担い、突発的な事案に備えながら日々30キロを走り込んできた。元日は例年、年越しを祝う人たちでにぎわう道頓堀周辺に出動していたが、この年明けはユニフォーム姿での全力疾走を誓う。

 府警陸上部には23~36歳の男性警察官計10人が所属。箱根駅伝の経験者が3人いるとはいえ、実業団のように海外選手や大学で注目を集めた選手はいない。そんな中、11月の関西地区予選(5枠)で5位となり、10回目の切符をつかんだ。出場唯一の公務員チームとして、7区間100キロを駆け抜ける。

 選手は全員、警備部第1機動隊に属している。祭りや花火大会の雑踏警備、国際会議での要人警護などが仕事だ。例年元日は、戎橋(大阪市中央区)周辺でカウントダウンに集まる人たちの警戒にあたってきた。22年は五輪選手らを擁するチームとともにスタートラインに立って迎える。

 走力を生かし、19年に府内であった主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では「ジョギングをしたい」という海外首脳の隣で拳銃を携えて走る警護も。主将の谷原先嘉(まどか)巡査長(28)は、今夏の東京五輪聖火リレーでタレントの森脇健児さんらに並走するランニングポリスも務めた。

 部員の朝は早い。午前9時の始業を前に同5時ごろから自主練習を始める。計算して練習メニューをつくり、日中も仕事の合間をみて走るが、事件で出動がかかれば予定通りとはいかない。監督の伐栗(きりくり)直樹警部補(49)は「アクシデントに強くなれ」と繰り返してきた。警察官として現場で直面する不測の事態への対応にもつながる。

 山梨学院大出身で箱根駅伝にも出場した谷原主将は「臨機応変さは、警察官になって身についた。仕事でも競技にも生きている」と語る。今年2月のびわ湖毎日マラソンで2時間9分15秒の自己ベストを出した。

 同期の永信(えいしん)明人巡査長(28)は、神奈川大で箱根路を走った。在学中に高齢女性が被害にあうひき逃げ事故を目撃し、「理不尽な事故をなくしたい」と警察官になることを決めた。競技は引退するつもりだったが、当時の監督から府警の陸上部を紹介され、両立の道へ。関西地区予選で区間賞(1区)をとった。

 永信選手は、「『警察官が速く走る姿を見ると、どんな犯人も逃げ切れないと思う』とよく言われる。頼もしい姿を見せて、府民に安心を届けたい」。(荻原千明)