「決定ではない」異例発表に不安の声 佐渡金山、世界遺産候補に答申

高橋俊成、長橋亮文、古西洋
[PR]

 【新潟】国の文化審議会が28日、「佐渡金山を世界文化遺産の国内推薦に」との答申を出した。しかし、文化庁は「決定ではなく政府内で総合的な検討を行う」と発表。答申がそのまま政府の結論となるのか、喜びと不安の声が交差した。

 午後2時、佐渡市役所には新潟県の文化行政課長から電話が入り、渡辺竜五市長が一報を受けた。取材に対し、渡辺市長は「島民の夢がまず一歩かなった。長い間取り組んでいただいた県民全体にお礼を申し上げたい」とし、「島の価値や魅力がしっかり評価された。世界に発信することで、多くのお客様に来ていただくだけでなく、佐渡を未来に守っていくという機運にもつながる」。一方で「政府内で総合的に検討」との発表には「異例なこと。国がどう検討していくかは把握していないが、しっかり検討して世界に発信していただきたい」と語った。

 戦時中の朝鮮人労働者の徴用をめぐっては「大規模な金山を手工業でやっていた江戸幕府の仕組み」が選定の理由だと説明し「江戸時代についてはそのような(戦時中の朝鮮人労働のような)ものはないと考えている」との見方も示した。

 「佐渡を世界遺産にする会」の中野洸会長は「佐渡金山を世界遺産にしようと長年運動をやってきたが、ようやく文化審議会から推薦をいただき、喜んでいる。『顕著な普遍的価値』が認められたことは当然の結果。これまでは文化審議会の結論がそのまま政府方針になってきたが、今回もそうなるのか、少し心配。知事や市長らとともに政府に働きかけてユネスコに申請してもらい、世界遺産登録のゴールをめざしたい」と語った。

 同会では、文化審議会の答申がそのまま政府方針となることを前提に、佐渡金山の地元、相川地区で市民による佐渡おけさやちょうちん行列などを繰り広げる「お祝い行事」を計画していた。しかし、国内推薦の正式決定まで延期することにした。

 花角英世知事は「20年余り取り組みを続けてきた県にとって大きな前進であり、感謝したい」とするコメントを発表。国内推薦には外交上のハードルが指摘されていることについて「内容は承知しない」としたうえで、「江戸時代に生産システムが構築され遺構が残っていることが世界遺産としての価値だ。そこには外交上の議論の余地はない」と報道陣に述べた。(高橋俊成、長橋亮文、古西洋)