「早く死を」重い言葉と復帰祝う意味 ガレッジセール川田さんの思い

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 2022年の5月15日、沖縄が日本に復帰してから50年になる。復帰した1972年に生まれた世代は、沖縄で「復帰っ子」と呼ばれる。

 お笑いコンビ「ガレッジセール」の川田広樹さん(48)は、その一人。復帰っ子の仲間とグループをつくり、映画制作と、子どもたちの支援に乗り出している。

 川田さんは那覇市生まれ。22歳で上京し、同級生のゴリさんとのコンビで人気を博してきた。

 印象に残る「復帰」は、卒業式や成人式。人生の節目節目で「復帰っ子おめでとう!」と祝われてきた。

 ただ、「自分が生まれたときなんで、復帰は記憶にない。全然ピンとこなかったんですよ」と言う。

 県外では復帰っ子と呼ばれることもなく、復帰30年、40年と特に意識することなく時は過ぎた。

 復帰50年に思いを巡らせるきっかけは2020年夏。地元の友人で72年7月生まれの比嘉盛也さん(49)から「復帰っ子でなにかやらないか」と声をかけられた。

 当初はお祝いイベントをイメージした。しかし、映像制作会社を営む比嘉さんと一緒に離島の伊江島へ渡ったとき、年配の男性から聞かされた沖縄戦体験に心を動かされた。

 男性は、うじの浮かぶ水を飲み、ガマ(自然洞窟)の中で「早く死んで天国に行きたい」と思っていたことを話した。

 「米軍に捕まればひどい目に遭う」と、家族が家族を手にかけて「集団自決」しようとしていたことを語り、「逃げることは『生きる』ということだ」と教えてくれた。

 「小学生のときにも平和学習は受けましたが、大人になり、家庭を持ったからなのか、体験が重く響いた。今、初めて真剣に向き合っています」

 県民の4人に1人が犠牲になったとされる沖縄戦から始まった米軍統治があり、そこからの日本復帰半世紀。

 川田さんは比嘉さんと21年5月、復帰っ子を中心とするグループ「結(ゆい)515」を設立し、沖縄戦のドキュメンタリー映画制作を開始した。「沖縄の歴史」と「命」がテーマだ。

 団体名の「結」は沖縄の方言でつながりを意味する。その「結」と、復帰した日付を合わせた。

 「ぼくはまだ沖縄戦を受け止めることで精いっぱいですが、まずはここから向き合いたい」と川田さんは話す。

 映画は2022年5月発表予定。収益は、子どもの貧困が課題となるなか、結515のもう一つの活動の柱とした、子どもたちへの支援にあてる。

 詳しくはホームページ(https://yui515.com/別ウインドウで開きます)で。(国吉美香)