放火のビル、外壁にはしご 大阪府警が設置の経緯や目的を捜査

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 大阪市北区の雑居ビル4階のクリニックで17日に発生し、25人が死亡した放火殺人事件で、ビル裏側の外壁にはしごが設置されていたことが、捜査関係者への取材でわかった。4階に外につながるような窓は確認されておらず、はしごは事件時の避難には使われなかった。大阪府警ははしご設置の経緯や目的を調べる。

 事件があったビルは8階建て。正面は幹線道路に面しており、出入り口がある。クリニックへは出入り口から入ってエレベーターか階段で上る構造だ。1フロアの面積は約90平方メートル。

 捜査関係者らによると、正面出入り口の裏側の外壁に、屋上から地上までつながる形ではしごが設置されていた。裏側は、隣のビルとの間が1メートルほどと狭いが、はしごの利用は可能とみられるという。

 朝日新聞も現地ではしごを確認。外側からは、はしごのすぐ脇に窓枠が確認された。

 事件が起きたクリニックは、このビルにテナントとして入っていた。府警などによると、クリニック内では、ビルの裏側にあたる部分に診察室があったが、診察室内には窓の存在が確認できていないという。

 ビルの建設は1970年で、大阪市消防局によるとはしごなどの避難器具は消防法上、設置義務はない。府警ははしご設置の目的が避難以外の可能性もあるとみて、経緯を調べている。

 ビルの複数のテナントは取材に、裏側の窓の存在を認めたが、はしごについてはいずれも「知らない」と答えた。ビルを所有する会社の役員は「裏側の各階に窓はあるが、はしごについては知らない」と話した。

 事件では、谷本盛雄容疑者(61)がクリニックの入り口付近にガソリンをまいて火をつけ、中にいた人々を奥に追い込んだと府警はみている。避難できずに意識不明で搬送された26人は、いずれも奥の診察室側で倒れていた。