ロシアの人権運動リードした団体に解散命令 ノーベル賞の有力候補

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モスクワ=石橋亮介
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 旧ソ連のスターリン政権による粛清の犠牲者の名誉回復に取り組むロシアの人権団体「メモリアル」が、ロシア最高裁などに解散を命じられた。ソ連の歴史を美化するプーチン政権が団体への敵対姿勢を強めており、ソ連崩壊後のロシアの人権運動をリードしてきた団体は、消滅に追い込まれる可能性が高い。

 ロシア最高裁の判決は28日で、モスクワ市裁判所も29日、メモリアル傘下の中核団体に解散を命じる判決を出した。いずれも、「外国の手先」を意味する「外国の代理人」に指定された団体に義務づけられた当局への財政報告を、メモリアルが怠った、などとする検察当局の訴えを全面的に認めた。

 28日午後、ロシア最高裁の判決が下されると、モスクワ中心部の最高裁前に集まった100人ほどのメモリアルの支持者らは、「恥を知れ!」と一斉に怒りの声をあげた。

 アルテミーさん(35)は「メモリアルの解散を許せば、人権侵害が際限なく広がる」と反発した。祖父が粛清にあったというニーナ・ソハルさん(73)は「まるで祖父が生きたスターリンの時代みたい」とうなだれた。メモリアル側は「完全に違法で、政治的な判決だ」として異議を申し立てる方針だが、政権の影響を受けた裁判所の判断が覆る可能性は低いとみられる。

 メモリアルの活動はソ連時代の1980年代後半、ゴルバチョフ政権が進めたグラスノスチ(情報公開)の流れの中で始まった。ノーベル平和賞を受賞したアンドレイ・サハロフ博士も創設に関わり、機密とされた粛清の資料を発掘。ロシア南部チェチェン共和国の政治弾圧などの問題にも取り組み、ソ連崩壊後のロシアの人権運動をリードした存在としてノーベル平和賞の有力候補とされる。

 国際的にも高く評価されるメ…

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2021年12月31日13時40分 投稿
    【解説】

    プーチン大統領はこれまで、スターリンの第2次世界大戦勝利への貢献を称賛する一方で、政治的弾圧には批判的な姿勢を取るという、一種の使い分けをしてきました。 後者を象徴するのが、2017年にモスクワに建てられた政治弾圧の犠牲者を記憶するための