ルーキー「3冠」に王手の東洋大・石田 足取り軽く箱根に挑めるわけ

加藤秀彬
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 1年生初の学生3大駅伝オール区間賞(留学生をのぞく)へ。東洋大の石田洸介(1年)が王手をかけている。

 出雲駅伝は5区、全日本大学駅伝では4区で区間トップに輝いた。箱根駅伝でも区間エントリーは補欠だが、当日変更で往路での起用が見込まれている。

 鳴り物入りで入学した逸材だ。

 群馬・東農大二高3年生だった昨年7月。5000メートルで当時の高校記録を16年ぶりに塗り替えた。9月には13分34秒74まで記録を伸ばした。

 だが、今シーズン前半は期待通りの活躍はできなかった。

 高校3年の冬から体の左右のバランスが崩れ、けがが長引いた。大学入学後も右足すねが痛み、走ることさえできなかった。

 石田が糧にしたのは、高校時代の苦い経験だ。

肩書にこだわった

 福岡・浅川中時代は「スーパー中学生」と呼ばれ、注目を浴びた。1500メートルと3000メートルで中学記録を樹立。その肩書に、苦しんだ。

 「よく過去を振り返っていました。自分は記録を持っているから、こんなもんじゃないって」

 高校1年生になると全国高校総体に出場できず、2年生でも入賞を逃した。

 同世代でずば抜けていた力が追いつかれ始め、焦った。

 追い打ちをかけたのは、3年時の最大の目標だったU20世界選手権の延期だ。新型コロナウイルスの影響で、同時期にインターハイの中止も決まった。

 目の前の目標を失い、3週間ほど無気力な時間が続いた。

 だが、この時期に気づいたこともあった。

 1人で競技に向き合い、中学では考えていなかった食事から生活を見直した。すると、徐々にタイムが上がり始めた。余計なことは考えず、今の自分に向き合う大切さを知った。

 「高校で経験したスランプは、きついときに自分で乗り越える原動力です」

目の前の結果を求めて

 大学で本格的に練習に復帰したのは、8月の夏合宿から。それまで、体幹や肩甲骨の可動域を広げるトレーニングを地道に続けた。高校時代にはなかった、スムーズな走りが身に付きつつある。

 正月の箱根では、これまで経験のない20キロ以上の距離に挑む。

 「怖がるより、20キロをわくわくすることを大事にします」

 自らが打ち立てた5000メートルの高校記録は2021年10月に京都・洛南高の佐藤圭汰(3年)が更新した。

 「肩書はなくなった。今は新しい自分をつくっています。まずは目の前の箱根で、結果にこだわりたい」

 過去の自分から解き放たれ、思う存分、箱根路を駆け抜ける。加藤秀彬