津波浸水域に昼間53万人 高齢者3割 北海道太平洋沿岸で試算

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平岡春人 角拓哉
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 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震による津波の浸水想定で、北海道の太平洋沿岸の浸水想定域の推定昼間人口が約52万7千人に上ることが、北海道大学大学院の橋本雄一教授(地理学)の試算でわかった。夜間人口より5万人弱多く、道内の全人口の約1割にあたる数だ。

 一方、浸水域内の人口に占める高齢者の割合は3割ほどで、昼と夜では大きな差はなかった。橋本教授は「高齢者が人口の3分の1を超える自治体もあり、手助けが必要な人たちの避難対策が急務だ」と話す。

 北海道は7月、両海溝沿いの巨大地震に伴う津波による太平洋沿岸の37市町の浸水想定を公表した。橋本教授はこの浸水想定と2015年の国勢調査のデータなどをもとに、地理情報システム(GIS)で浸水域の人口を試算した。

 分析結果によると、37市町の浸水域の人口は昼間が約52万7千人、夜間が約48万人だった。自治体別にみると、昼間で最多だったのは釧路市約11万9千人。苫小牧市約10万6千人▽函館市約9万1千人▽室蘭市約4万3千人▽登別市約3万人▽北斗市約2万9千人が続く。これら上位6市で全体の約8割を占める。

 橋本教授は「北海道は沿岸部に主要都市が多い」として、津波の被害が大きくなる危険性を指摘する。

 一方で、浸水が水深7メートル未満の場所にいる人は、昼間が人口の94%、夜間が95%と推計されている。このため、「強固な建物の4階以上に避難すれば、助かる可能性が高くなる。冷静に避難してほしい」と呼びかける。

 分析からは高齢者対策の重要性も浮かんだ。浸水域の人口に占める高齢者の割合は昼間が28%、夜間が30%と大きな差はなかった。夜間は避難行動に時間がかかりやすくなるため、被害が大きくなる。たとえば、夜間の高齢者の割合が最大の36%の伊達市のほか、函館市や登別市などで3分の1を超える。

 橋本教授は「道東の太平洋沿岸は津波の到達時間が早く、避難移動に費やせる時間は短い。自治体には、自力で避難が難しい障害者や高齢者の避難方法を定める『個別避難計画』の策定を進めるほか、道路整備や標識の設置などのハード対策にも努めてほしい」と指摘する。(平岡春人)

高齢者や障害者を守るには

 「個別避難計画」。災害に備えて、自力で避難するのが難しい高齢者や障害者一人ひとりの避難方法などを決めておくことだ。だが、北海道内では対象者全員分の策定を済ませた自治体が今年1月時点で12%にとどまる。避難をサポートする「支援者」の確保が課題だ。

 2011年の東日本大震災で…

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