夫が3回唱えるだけで離婚成立 違法になった慣習、インド政権の思惑

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ニューデリー=奈良部健
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 「タラーク(離婚)、タラーク、タラーク」。そう3回唱えるだけで、夫は妻の同意がなくてもすぐに離婚できる――。インドのイスラム教徒のこんな慣習が、違法化された。ジェンダーの観点だけでなく、多様性国家インドの土台に関わる重要な問題をはらむ。イスラム教徒の女性たちや法学者を尋ね歩いた。

 「この悪習は、私の家族を苦しめ続けました」。インド西部アーメダバードのイスラム教徒が多く住む地域で会ったヌール・ジャハンさん(49)が、時々声を詰まらせながら、両親の間で起こった悲劇を語ってくれた。

 ジャハンさんの父親が、母親と離婚したきっかけは、ささいなことだった。ジャハンさんの母親が作った料理に唐辛子がたくさん入ってしまい、いつもより辛かった。怒った父親は母親を殴り、「タラーク」と3回唱えた。母親は近くの実家に逃げた。

 父親は感情的になったことを後に悔やみ、イスラム教の知識が豊富な宗教指導者に相談した。だが、「取り返しがつかない」と言われ、復縁はかなわなかった。

 イスラム法は一般的に、離婚をする権利を夫にも妻にも認めているが、離婚を宣言する権利は、原則的に夫にしかないとされる。インド政府によると、インドでは「トリプル・タラーク」と呼ばれる慣習として根付いた。夫は「タラーク」と3回唱えるだけで離婚できる。妻が目の前にいなくても、メールやSNSで3回送れば、即時に離婚が成立すると言われる。

 子どもを産めない、女児しか産まなかった、結婚時の持参金が少ない――。そんな理由で一方的に離婚させられる女性が、後を絶たなかった。

 インドでは多数派のヒンドゥ…

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