菓子や果物の缶詰などでホッと 家族で相談、自宅療養に備えた準備を

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、食料や衛生用品の備蓄を呼びかける自治体が増えている。外出できない人のために多くの自治体が配食サービスを続けてきたが、自宅で療養を余儀なくされる人が全国で26万人を超えた「第6波」では、手が回らない地域も出てきた。

 「行政の支援が追いつかない状況で、もはや『災害』です」。兵庫県西宮市地域防災支援課の中尾篤也さん(52)は話す。

 西宮市でも自宅療養者は急増しており、1月31日時点で調整中も含めて3561人に上る。第5波のピーク(昨年8月27日時点)は793人で、4倍以上に増えている。

「震災思い出した」 簡単レシピを掲載する市も

 市は一人暮らしや高齢の自宅療養者に対し、民間から購入した約10日分のレトルト食品や飲み物、マスクや手の消毒薬などを配っている。保健所が電話で希望を確認し、必要性を判断する。これまでは希望者の多くに配れていたが、第6波では保健所の業務が逼迫(ひっぱく)し、一部は断らないといけない状況になっている。

 そこで市は1月下旬、ホームページやLINEの公式アカウントで「自宅療養に備えて備蓄しましょう」と呼びかけた。国の「災害時に備えた食品ストックガイド」などを案内する一方、体調不良で調理できない人向けに、開封・加熱するだけで食べられる食品の備蓄も勧めている。

 中尾さんは備蓄を呼びかける際、西宮市も大きな被害を受けた27年前の阪神・淡路大震災を思い出したという。「地震直後は水や食料がなくて本当に困った。その教訓を生かそうと防災に取り組んできたが、今回は感染症という思わぬ形で同じ状況になりつつある」

 コロナ禍では過去にマスクやうがい薬の「買い占め」騒動もあった。中尾さんは「一般の災害でも、物資は10日分あれば安心だと言われている。適切な量を買ってほしい」と話す。

 埼玉県狭山市も、1月下旬になって配食サービスの依頼が上旬に比べて2倍以上に増えた。まだ限界までには余裕があるが、市はホームページ上で必要な食料や衛生用品の具体例を紹介し、「家族で相談・リストアップし、もしもの場合に備えておきましょう」と呼びかけている。

 担当者は「食べ慣れた食品を備蓄しておくと安心です。菓子や果物の缶詰なども用意しておくと、ストレスの緩和や栄養バランスの補助につながります」と話す。

 東京都でも急増する自宅療養者対策が急務となっている。1月27日の都のモニタリング会議後の記者会見で、国立国際医療研究センターの大曲貴夫氏が「感染者、あるいは濃厚接触者になって外出できなくなった場合を想定し、生活必需品を準備することなどを都民に呼びかける必要がある」と述べた。

 沖縄市は第6波になる前の昨年10月までに、自宅療養に必要な物品リストをホームページで公開。市の栄養士が考案した、缶詰やパックご飯などで簡単に作れるレシピも紹介している。

 昨夏の第5波では備蓄している家庭が少なかったことに加え、台風対策にも役立つという意見から始めた試みだ。市民からは「参考になった」という意見が寄せられているという。担当者は「災害は、いつ何が起きるかわからない。この機会に備蓄に関心を持ってほしい」と話した。(狩野浩平)

「頼れない」の声 民間も支援

 備蓄が難しい家庭もある。大阪府豊中市で、子ども食堂を兼ねる飲食店「ごはん処 おかえり」を経営する上野敏子さんは、自宅療養している困窮家庭に食料を配っている。

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