自民、半世紀ぶりに分裂へ 現職・新顔巡り「全面戦争」 長崎知事選

石倉徹也
[PR]

 長崎県知事選が2月3日に告示される。現職を3期12年支えてきた自民党が新顔擁立派と現職支持派に割れ、約半世紀ぶりの「分裂選挙」が必至。無風だった過去2回から一転、混沌(こんとん)とした選挙戦となりそうだ。20日に投開票される。

 長崎市で1月14日にあった自民県連の選挙対策会議。県医師連盟の森崎正幸委員長が、県連幹部らを批判した。「戦いは始まっているが苦戦している。理由はただ一つ。自民党議員の中に、堂々と相手方の選挙活動をしている方がいる」

 森崎氏は、立候補予定の新顔で医師の大石賢吾氏(39)の後援会長。県連は昨年末、大石氏の推薦を決めたが、拍手で承認を求める執行部に対し、現職の中村法道氏(71)を支持する県議らが反発、「推薦なし」「勝手にしろ」などと怒号が飛び交った。結局、県議33人のうち重鎮の八江利春氏(82)ら約半数が中村氏の支持に回った。

 自民系県議は過去、県議長選をきっかけに2会派に分裂。昨年末に合流したばかりだった。だが、元の会派の勢力そのままに大石氏支持派と中村氏支持派に再び割れた。

 5人の党所属国会議員の支持も二つに分かれた。県連は亀裂の拡大を防ぐため、党本部への大石氏の推薦申請を見送り、「県連推薦」にとどめることを余儀なくされた。

 4期目をめざす中村氏は2010年、自民、公明両党の支援を受け、当時政権にあった民主党などの推薦を受けた対立候補を退けて初当選。14、18年の知事選は与野党相乗りで圧勝した。

 一貫して中村氏を支えてきた自民党だが、全線開通の見通しが立たない九州新幹線西九州ルート(博多―長崎)や、歯止めがかからない人口減への対処などを巡り、不満が積み重なっていた。

 さらに、3期目の終わりに近づいた中村氏が後継を模索して進退表明が遅れたことで、別の候補者探しの動きが出始めた。そこに浮上したのが大石氏だった。

 昨秋の衆院選で候補者公募に応じたものの、選外となった元厚生労働省技官。経歴と39歳の若さに目をつけた県連執行部や医師連盟が、「世代交代で停滞する県政の一新を」と一気に担ぎ出しに動いた。

 一方、県農政連や県商工政治連盟など党の有力支持団体の多くは、3期12年の実績を評価して中村氏の推薦に回った。中村氏支持派の県議は「勝てば官軍。全面戦争だ」と息巻く。

 長崎で保守勢力が二分された知事選といえば、自民党推薦の金子原二郎氏(現農林水産相)と、旧自由党推薦の故・西岡武夫氏(後に参院議長)が争った1998年がある。自民の分裂は、党公認の現職だった故・佐藤勝也氏に、離党した元参院議員の故・久保勘一氏が挑んだ70年以来52年ぶりとなる。

 立憲、国民の両県連は独自候補を出さず、中村氏を支持。日本維新の会は大石氏を推薦する。公明党は、支持層に大石氏と中村氏の双方を推す声があるとして推薦を見送った。共産党県委員会は、食品コンサル会社経営の宮沢由彦氏(54)を自主的に支援する。

 このほか元ホンダ社員の寺田浩彦氏(60)、元神戸大助手の田中隆治氏(78)が立候補を表明している。石倉徹也

◇予想される顔ぶれ

大石 賢吾 39 無新 医師

    =自民県連、維新推薦

中村 法道 71 無現③ 〈元〉副知事

    =立憲県連、国民県連支持

宮沢 由彦 54 無新 コンサル経営

    =共産県委員会が自主的支援

寺田 浩彦 60 無新 〈元〉ホンダ社員

田中 隆治 78 無新 〈元〉神戸大助手

※敬称略、立候補表明順、丸囲み数字は当選回数