文科省調査 教員不足1591校で 専門家「深刻な現実明らかに」 

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三島あずさ、編集委員・氏岡真弓
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 教員が足りず、学校に本来配置するはずの人数を満たせない状態が今年度、全国の公立小中学校、高校、特別支援学校の4・8%にあたる1591校で生じていることが、文部科学省の調査で分かった。各地の教育委員会は、教員の人手確保にどう取り組んできたのか。この問題を調査してきた専門家は、教員志望者を増やすための取り組みが欠かせないと訴える。

 福岡県では昨年5月1日時点で、小学校で69人、中学校で59人が不足。不足が生じている学校の割合は、小学校で13・8%、中学校で20・0%に上った。

 県教委の担当者は「児童生徒の転入が例年より多く、定数が増えた分の確保が難しかった」と話す。団塊世代の大量退職を補う大量採用の影響で講師ができる人が減ったことや、特別支援学級が毎年1・2倍ほどのペースで増えていることも背景にあるという。教頭や教務主任らが学級担任を務めるケースもあったという。

県教委担当者「臨時採用の人材が枯渇」

 熊本県も、小中合わせて78人が不足。学校数では小学校の14・5%、中学校の23・1%で不足があった。大量退職に伴い採用数を増やしていることで「臨時採用できる人材が枯渇している」(担当者)という。

 校長らに現状を伝え、定年を迎える教員らに働きかけてもらった結果、例年は約4割にとどまる再任用希望者が今春は6割ほどに上がったといい、担当者は「大変ありがたい。少しでも改善につながれば」と期待する。

 小中合わせて74人が不足していた福島県教委の担当者は「1学級30~33人の少人数であることに加え、被災地としての追加配置もあり、もともと国の基準より教員を手厚く置くようにしている。ただ、人手が足りず、置きたい人数に達していないのが現状だ」と説明する。採用倍率は小学校で1・8倍と全国平均(2・6倍)を下回る。ハローワークにも求人を出したり、地域採用枠を導入したりするなどして、人材確保を図っているという。

 一方、調査対象のうち7都県市は、5月1日時点で小中とも不足がなかった。

 その一つ、山形県の担当者は「産育休や病休取得者の代替要員探しなど、他県と同じく常に苦労し、退職者への働きかけなどの努力を続けている。人手の確保に『特効薬』があるわけではない」と話す。これまで「教員免許更新が済んでいないから」と二の足を踏む人がいたが、22年度から更新制がなくなる。「また現場に戻ろうかな、と思ってくれる人が増えてほしい」と期待する。

「8万人近い子に影響」専門家が指摘

 佐久間亜紀・慶応大教授(教育学)は昨年、教員不足に悩むある県の実態を調べ、全国的な調査の必要性を訴えてきた。今回の調査について「全国の深刻な現実の一端がやっと見えてきた」と語る。昨年の始業日時点の小中高、特別支援学校の教員不足は、パートの非常勤講師までかき集めても、2558人だった。全体の0・31%。だが、「1人の教員が指導する子を30人とすると、8万人近い子に影響が及んでいることになる」とみる。「事前に準備できるはずの学年の出発点で既に手当てできていないのは問題だ」と言う。

 佐久間教授が調べた県は時が…

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