災害時、高齢者や障害者どう避難? 個別計画の作成、進まない事情

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中山直樹
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 高齢者や障害者ら要支援者が災害時に逃げ遅れないよう、あらかじめ支援者や避難経路を決めておく「個別避難計画」の作成が、岩手県内で進んでいない。東日本大震災の教訓を生かすため、要支援者の命を守る計画づくりをどう進め、いかに実効性のあるものにするのかが問われている。

 「この家に住んでいるのは、今お一人ですか」

 久慈市東広美町の自主防災会は昨年11月以降、町内にある家を1軒ずつ回り、避難に支援が必要な人の洗い出しを進めている。市が作成した要支援者名簿の提供は受けているが、名簿には掲載に同意した人しか載っておらず、把握されていない要支援者がいる可能性があるためだ。

 市は、内閣府が2020年9月に公表した日本海溝・千島海溝地震による津波の浸水想定で、震災より広い範囲が浸水するとされており、東広美町も新たに区域に含まれた。

 自主防災会では1月中にもすべての世帯の確認を終える予定で、今後は災害時に誰が声をかけ、避難場所まで連れて行くのかを本人と相談して決め、計画を立てるという。

「心理的な負担はかなり大きい」

 事務局長の大石純夫さん(70)は「家族がいない人を誰が支援するのかや、かかる時間を考えて、どこを避難場所にするのかなど取り組むべきことは多い。地道にやっていくしかない」と話す。

 震災では、高齢者が死者の6割を占め、障害者の死亡率が全体の2倍に上った。このことから国は13年、市町村に要支援者名簿の作成を義務づけ、個別避難計画の策定を求めた。さらに、19年の台風19号を受け、計画の作成を努力義務にしている。

 しかし、県復興くらし再建課によると、作成率は県内33市町村の平均で25・1%(21年5月時点)にとどまる。なかでも沿岸12市町村の平均は13・0%で、久慈、大船渡、陸前高田など6市町村は0%のままだ。

 作成が進まない背景について、大船渡市長寿社会課の担当者は「震災ではほかの人を助けに行き、亡くなった人が少なからずいた。支援者として計画に名前を載せることへの心理的な負担はかなり大きい」と指摘する。

 そのため大船渡市や陸前高田市では、支援者の負担が大きくならないよう、個別避難計画に加え、民生委員自主防災組織が日ごろから実施している見守り活動を、災害時の避難支援や声かけに生かせないか検討している。

実際に起きたとき、計画通りに動けるか…

 一方、奥州市では、要支援者名簿に登録されている約1600人分すべての個別避難計画づくりが完了している。

 市内には、全約240地区に…

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