青学、圧倒的な選手層とスピード 「誰か一人に頼らないチーム」成就
第98回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は3日、神奈川・芦ノ湖から東京・大手町までの復路(5区間、109・6キロ)があり、前回4位の青山学院大が10時間43分42秒(速報値)の大会新記録で2年ぶり6度目の総合優勝を果たした。
復路のスタート時点で、2位とは2分37秒差。
青学大は、復路でその差をさらに広げた。
フレッシュな1年生2人を起用した前日から一転、実績のある上級生たちが力を見せた。
山下りの6区を1位でつなぎ、7区でたすきを受けたのは岸本大紀(3年)だ。
2年前に1年生ながらエース区間(2区)を走った「駅伝男」は、区間歴代5位のタイムで区間賞を獲得した。続く8区の佐藤一世(2年)は区間2位。9区の中村唯翔(3年)、10区の中倉啓敦(3年)が区間新をたたき出し、後続を全く寄せ付けなかった。
今大会は、前回王者の駒沢大と、青学大が2強とみられていた。
両者の明暗を分けたのは、選手層の厚さだ。
戦前、原晋監督はこう言っていた。
「今の高速駅伝は、区間順位2桁が(1人でも)いれば優勝が遠ざかる。各区間を5位以内で勝負していきたい」
エントリー16人全員が1万メートルを28分台で走れる選手をそろえたからこそ、なし得る作戦だ。想定通り、9区までの選手のうち7人が5位以内。2桁はいなかった。
一方の駒大は、9区までに3人が区間2桁。8区を託した主力の鈴木芽吹(2年)が区間18位に終わる誤算もあった。
青学大が昨年4位に終わったのは、エースの神林勇太(当時4年)が直前で離脱するアクシデントに対応できなかったからだ。
「誰か一人に頼らないチーム」が新チーム発足時に掲げた目標だった。
例年より2~3週間、箱根に向けて徐々に上げていく練習の設定タイムを速くした。タイムトライアルで積極的にチーム内の競争を活性化。これまでにない下半身の筋力トレーニングにも取り組み、チーム全体のスピードが上がった。
出走した10人のうち、4年生は2人のみ。今回は控えに回った、多くの実力ある3年生以下が、出番を待ちわびている。
学生駅伝界の中心を青学大が走る日は、しばらく続きそうだ。(加藤秀彬)