第4回青臭くても志を語る「パーパス経営」 社員と会社は対等になれるか

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木村裕明
写真・図版
SOMPOグループがオンラインで開催した対話集会。下段左が広畑恵さん、上段中央がSOMPOホールディングスの桜田謙悟社長兼グループCEO(最高経営責任者)=同社提供
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連載「考」2022年の先へ

 「介護に携わる人たちがプライドを持って仕事を続けられる施設、会社、ひいては社会をつくりたい」「入居する高齢者の方が自分の人生にプライドを持ち、どう生きて、どう死んでいくかを自分で決められる施設をつくりたい」

 昨年11月10日。介護大手SOMPOケアの施設「そんぽの家岡山平井」(岡山市)でホーム長を務める広畑恵さんの話を、損害保険大手、SOMPOホールディングス(HD)の桜田謙悟社長兼グループCEO(最高経営責任者)が真剣な面持ちで聴いていた。

 広畑さんは続けて、介護を志すに至った原体験を披露した。

 「中学の授業で特別養護老人ホームを見学しました。そこで見た介護が衝撃的で、14歳だった私はショックを受けたんです」

 入居者のお年寄りが、おむつを外してしまうという理由でマットレスの上で拘束され、居室には外から鍵がかけられていた。入居者にも職員にも笑顔はなかった。

 「人生の最後にこんな扱いを受けるのが介護なのか」。多感な時期に受けた衝撃が、いまの志につながった。「就職活動でも介護以外は考えられませんでした」。大学卒業後、介護の仕事に就いて18年、この道一筋に歩んできた。

 この日は、会社や社員のパーパス(存在意義)について、経営トップと現場の社員が語り合うオンラインの対話集会だった。

 損害保険や生命保険の事業会社などから登壇した社員4人は事前に、「マイパーパス」を言葉にする作業に取り組んでいた。人生でやりたいことは20代前半までに固まるという考えの下、自身の価値観に影響を与えた学生時代の原体験などを思い出しながら、自分を内面から突き動かすものを考える。

 SOMPOグループは昨年9~11月に同様の対話集会を7回開き、約1万人の社員が配信動画を視聴した。この集会などを通じて、グループの全社員約6万人にマイパーパスを言葉にするよう促す方針だ。自分の内面を見つめながらマイパーパスを探す方法を少人数の単位で教え、互いのパーパスを共有するワークショップも開催。人生観や仕事観について、上司が部下と対話する面談も始めた。

 「青臭い取り組みですね」

 グループCHRO(最高人事責任者)を務める原伸一さんに正直な印象を伝えると、こんな言葉が返ってきた。

連載「考」 2022年の先へ

新しい年、そしてその先の未来に、経済社会はどこへ向かうのか。私たちに何が問われているのか。様々な分野で取材を重ねてきた経済記者たちが、テーマごとに現場を訪ねながら、コラム形式で考えます。

 「私自身、最初はちょっと恥…

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    ドミニク・チェン
    (情報学研究者)
    2022年1月7日11時7分 投稿

    【視点】青臭いという否定的な形容をあえて使わないと伝わらないほど、これまで多くの企業の在り方が個々人の生きる意義から乖離していたのだと感じます。「会社のため」という言葉のもとでたくさんの悲劇が起こってきたことを鑑みれば、各社が社会的な存在意義を定義