第5回「私も共犯者」元校長は語った 進む原発再稼働、口ごもる島民

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編集委員・大月規義
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連載「考」2022年の先へ

 この11年の間に人口が5分の1に減った島が宮城県にある。

 昨年12月中旬、女川町の出島(いずしま)を訪れた。巡航船に乗り35分。港から傾斜のきつい坂道を上り、60世帯96人が暮らす高台へ向かう。途中にあった多くの家々が、東日本大震災の津波で壊滅した。

 診療所も流され、島に医師はいない。小・中学校は震災の2年後に廃校となり、子どもと両親らは島から引っ越した。

 高台からは銀ザケやホタテの養殖場が見えた。漁業で生計を立てる島民らの船が時折行き来する。

 島の南に残った「民宿いずしま」を訪ねる。一時廃業したが、4年前の3月11日に復活した。

 再建人の一人が福島県郡山市の元校長、高野信さん(63)だ。いまも教員を続けていて、週末に150キロ離れた出島へ通う。

 民宿では営業担当。宿泊客らが島を散策できるトレッキングコースをつくり、観光ガイドをする。

 早朝。民宿の窓には、朝日に輝く女川湾と、東北有数の信仰の島・金華山が映る。

 「絶景でしょう」。高野さんは誇らしげだ。毎週通ってくる理由がうなずける。

 右手には牡鹿(おしか)半島が広がる。壮大な自然のなか、四角い白色の建屋と防潮壁が異彩を放つ。

 東北電力女川原発だ。

 原発は山林や崖で囲まれているため、半島側の陸地からはほぼ見えない。だが、海上5キロ離れた出島からは常に視界に入る。

 「原発さえ見えなければねえ。観光で商売する者としては、そう思います」

 「原発」には苦い記憶がある。

連載「考」 2022年の先へ

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