留学から帰ると排斥の風潮 西洋画の先駆者はあえて「虎」を描いた

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戸村登
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 国の重要文化財「裸婦」など肖像画家として知られる岐阜県恵那市出身の洋画家、山本芳翠(1850~1906)は、生涯で数点の「虎」の油彩画を残した。日本洋画の先駆者はなぜ、日本画の典型的な画題の一つである「虎」を、西洋絵画の技法で表現したのか。そこには、近代日本が始まった明治という時代を生きた画家の熱い思いがあった。

 「猛虎一声」(東京芸術大学美術館蔵)、「猛虎逍遥(しょうよう)図」(神戸市立博物館蔵)、「月夜虎」(東京国立博物館蔵)――。写実的に描かれ、今にも虎が飛び出してきそうな油彩画ばかり。いずれも、フランスで洋画を学び、帰国した芳翠が「虎」を画題に描いたものだ。

 「意図的に描いたのだろう」。そう話すのは、芳翠を研究する岐阜県美術館の廣江泰孝学芸員(51)だ。

 「日本画でよく知られた画題…

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