正月も「ひとりではない」 北九州市で恒例の炊き出しと追悼

佐々木亮
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 【福岡】北九州市を拠点に生活困窮者やホームレスの支援に取り組むNPO法人「抱樸(ほうぼく)」が3日、路上で亡くなるなどして引き取り手のなかった人たちを追悼する集会と新年最初の炊き出しを同市小倉北区の勝山公園で行った。家族とのつながりを失ったホームレスにとって、帰省客で街がにぎわう年末年始は孤独感をいっそう募らせるという。その時期に「ひとりではない」と感じてもらおうと、20年以上続けている恒例行事だ。

 会場には約100人の木製の追慕碑が並べられた。そのうち1人は、車中で生活していた男性だ。抱樸スタッフが夜間パトロールで声をかけるなどしてつながりを持っていたが、昨年8月に亡くなっているのを見つけた。市や警察が調べたが家族と連絡が取れず、抱樸が葬儀をして見送った。

 奥田知志理事長が「このいのち、忘れません」と呼びかけ、黙禱(もくとう)。代表3人が追慕碑に花束を手向けた。

 炊き出しでは、焼き肉弁当が配られた。一昨年までは会場で調理して振る舞い、その場で食べて交流する姿も見られたが、昨年に続き新型コロナ感染拡大防止のため、あらかじめ100食を準備。「穏やかな年になりますように」「かぜひかないよう気をつけて下さいね」などとボランティアが書いた手紙を添え、手渡した。路上で生活を続ける60代の男性は「弁当もありがたいが、みんなの心がうれしい」。生活保護を受けながらひとり暮らしをする60代の男性は「ここに来れば、知った顔に会え、『元気?』と声をかけ合える」と話した。

 奥田さんは「経済の格差に加え、いま、いのちの格差が開きだした。大事にされるいのちと邪険に扱われるいのちが、コロナによってむき出しになった」と指摘する。「抱樸のキャッチフレーズは『あんたもわしもおんなじいのち』。このことをずっと言い続ける」と話す。

 抱樸は現在、特定危険指定暴力団工藤会の本部跡地(小倉北区)を購入し、「希望のまち」と名付けた総合的な福祉の拠点づくりを計画。困窮者の支援だけでなく、子どもや高齢者の居場所づくり、ボランティアの拡充などをめざし、活動を支える寄付を呼びかけている。問い合わせは抱樸(093・653・0779)。(佐々木亮)