犠牲になった妻のため「前向いて生きる」 熱海土石流から半年
玉木祥子 魚住あかり
熱海市伊豆山地区で昨年7月に発生した土石流から3日で半年が過ぎた。26人が犠牲になり、今も1人の行方が分かっていない。家を失い、仮の住まいや住み慣れた土地を離れて年末年始を迎えた被災者も多い。遺族らは大切な人に思いをはせ、いつもと違う新年を迎えた。
伊豆山地区で造園業を営む田中公一さん(72)は、神奈川県平塚市の娘家族の家で大みそかと元旦を過ごした。「一緒に年越しを過ごそうよ」。娘(31)の誘いに、最初は気乗りしなかったが、何度も誘い、気に掛けてくれる気持ちはうれしく、応じることにした。
毎年、年末年始はにぎやかだった。娘、息子が家族を連れて帰省。正月は地元で過ごすのがあたりまえだった。その日常を土石流が奪った。
妻路子さん(享年70)が犠…