上白石萌音が演じる「千と千尋」 10歳のしぐさを研究中、その心は
アニメ映画の大ヒット作「千と千尋の神隠し」が、舞台になる。主役の上白石萌音には特別な作品だったという。自身の少女時代とどう重なるのか。稽古を始めた昨年末に聞いた。
怖くて、感動して泣いた
――最初に「千と千尋」を見た記憶は。
七つの時です。たぶんテレビで見ました。
多くの子どもがそうだと思うんですけど、(千尋の)両親が豚になるシーンが恐ろしくて、ワンワン泣いてたっていうのは、(私の)両親に聞きました。私ホントちっちゃいときから怖い映画とか一切見れない子だったんで、いつもだったらたぶんそこで泣いて、もう見ないって言って部屋に帰ってたと思うんですけど、「千と千尋」だけはなぜか泣きながら最後まで見てたらしいです。
――ご自身にとって、どんな作品ですか。
それこそトラウマです。フフフ。ずっと心に残り続けてる。最近までは「千と千尋」って怖い映画として自分の中にありましたね。ただただ世界観が不気味、でも見ちゃう、っていう感じですね。
――最近見たのは。
これ(舞台出演)が決まってからですね。ちょうど自粛明けくらいに映画館でかかってて、見に行ったときに、こんな映画だったんだって。結構衝撃的でした。メッセージ性っていうか、違う意味で、ぼろぼろ泣きました。ちっちゃいときは怖さで泣いてたんですけど、感動で、胸いっぱいになっちゃって。
――どんなメッセージを受け止めましたか。
名前を大事にしてる映画なんだって。タイトルにも二つの名前がありますけど、一番ぐっときたシーンが、千尋が「私の本当の名前は千尋っていうんです」って言ったら銭婆が「いい名前だね、自分の名前を大事にね」っていうセリフがあって。それまで千と言われてきて、「本当の名前を忘れたらこの世界から帰れなくなる」ってハクに教えられてきたなかで、「自分の本当の名前を大切にしなさい」っていう、そのメッセージがすごいしみて。ていうのも、名字は生きてたら変わる可能性があるんですけど、下の名前って変わんない。名は体を表すって言うじゃないですか。一生、自分とともにいてくれる、自分の名前を大事にしようって思いました。
ちゃんと弱い、普通の子
――「萌音」の由来は…