原発の運転延長も「脱炭素へ一助」 EUの案にドイツは反発

ブリュッセル=青田秀樹、ベルリン=野島淳
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 欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は3日、温暖化対策の一助として既存の原子力発電所の運転期間延長を位置づける考えを明らかにした。異論も根強いが、一定の条件のもとで原発天然ガスを活用するのは、再生可能エネルギー社会への移行期の「現実的な対応だ」(EU高官)として理解を求めている。

 欧州委は、脱炭素につながる「グリーン」な経済活動を定めたルール「EUタクソノミー(分類)」に原発と天然ガスを盛り込むため、EU各国に原案を示して意見を求めている。1月中には正式決定し、発電所の新設などにかかる資金を好条件で調達しやすい環境を整える方針だ。

 EU高官の説明や原案によると、原発の新増設は2045年まで、運転延長は40年までに各国の規制当局の認可を得ることを条件とした。いずれも、高レベル放射性廃棄物の処分場を確保する具体的な計画づくりを求めている。原発の新設には長い時間がかかることを踏まえ、既存の原発の運転延長も「エネルギーシステムの脱炭素化を短・中期的に支えられる」とした。

 天然ガス火力発電は30年までの認可分がタクソノミーの対象で、二酸化炭素(CO2)の排出量上限を定めるほか、CO2排出が多い石炭火力の代わりとなる施設を対象とする考えだ。また、発電のための燃料を再エネ由来のガスなどに切り替えていくことも求めている。

 原発や天然ガスの活用への是非はEU内で割れている。とりわけ原発を「タクソノミー」に組み込んでグリーンな電源とみなすことについて、ドイツ首相府のヘーベシュトライト報道官は3日の定例記者会見で、「私たちは明確に拒否する」と述べた。「原子力技術は危険で、放射性廃棄物の問題は未解決だ」とも語った。オーストリアは法的措置も辞さない構えをみせている。議論のとりまとめが難航する可能性もある。(ブリュッセル=青田秀樹、ベルリン=野島淳