奪われる資源、進む未来の植民地化 我々が「よき祖先」となるために

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聞き手・興野優平、高久潤
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 未来の子孫に対して、自分たちを「よき祖先(グッド・アンセスター)」であると言えるだろうか。こうした視点が、山積した問題を解くには欠かせないのではないか――。

 英国の文化思想家であるローマン・クルツナリックさんは、そう問いかけます。コロナ禍になって2年。なぜ、今のあるべき姿を探るために未来から考える必要があるのでしょうか。2020年発表の著書「グッド・アンセスター」(松本紹圭訳、あすなろ書房)などが世界各国で翻訳されて注目を集めているクルツナリックさんが、朝日新聞のオンラインインタビューに応じました。

 ――世界的に新型コロナウイルスの感染が広がった20年に「グッド・アンセスター」を発表しました。現代の世界をめぐって、行き過ぎた「短期思考」に覆われている、と指摘していますが、どういうことですか。

 私たちの関心は「今、ここ」だけに集中し、未来を見据えてなすべきことをじっくりと考える「長期思考」が欠けています。コロナ禍前からそうです。「よき祖先」という発想で、長いタイムスパンを取り戻す必要があると問うたのは、私のオリジナルではありません。1970年代にポリオのワクチンを開発したジョナス・ソークが言った言葉です。まさに「これだ」と思いました。

 この時点で、私たちはすでに未来に大きな影響を与える存在でした。気づいていた人もいますが、大半の人はその自覚を持たなかった。その後さらに「短期思考」にとらわれていきましたし、今もその自覚が足りません。

 ――「短期思考」のどこがそんなに問題なのでしょうか。

いま、私たちは未来を植民地化している

 子どもたちや、まだ生まれていない未来世代は、当然ながら選挙権も、市場に対する影響力も持っていません。私たちはそれをよいことに好き勝手に生態系を壊し、技術開発の負の側面を後世に押し付けてきました。

 これは「植民地化」と同じ現…

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