著名な育種家の死 ひきこもりだった息子が最高級糖度のレンコン実現
上保晃平
全国の農業技術者が集まり栄養価を競うコンテストで昨年、千葉県長南町産のレンコンが国内最高級の糖度9度を記録した。ブランド名は「金坂蓮魂(れんこん)」。父親の死をきっかけに就農した金坂哲宏(あきひろ)(38)が、肥料や農薬を一切使わない自然栽培で実現した。
その栽培方法は、土中の微生物の働きを活性化させるという、金坂が自ら編み出したものだ。自然栽培によるレンコンの品質向上技術の確立は、前例がないという。
農業では肥料の改良が進む一方で、微生物の働きについてはまだわかっていないことが多い。「一度に入れて栄養分が過剰になる肥料に対し、微生物を生かすことでゆっくりと効くのだろう」と金坂は言う。
就職後、うつ病と診断され
ただ、金坂は元来レンコン栽培に興味があったわけではない。「ネットゲームの世界に閉じこもって、人生を諦めていました」
高校卒業後に専門学校でプロ…