第6回1人でも「育てたい」思いあれば 7人受け入れた里親「まず児相へ」
さまざまな事情で親と離れて暮らす子どもたちを、一般家庭に迎え入れる里親制度。里親になる、とはどういうことなのだろう。これまでに7人の里子を育てた公益財団法人・全国里親会(事務局・東京都港区)の会長、河内(こうち)美舟(みふね)さん(79)に聞いた。
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里親家庭との出会いをきっかけに、36歳で里親になりました。実子は3人います。
実子のほかに、これまで7人の子どもを里親として預かり、育ててきました。7人の中には、ベトナム難民の子どもが3人いました。
私が若い時と比べ、里親の間口は広がっています。
今は1人でも里親になることができます。「育てたい」という思いがあり、子どもが安心して暮らせる場所が用意できれば、誰でも里親になれるんです。
家庭での養育は、子どもにとって必要不可欠です。児童養護施設の子がうちに最初に来た時、「食堂はどこですか」「この給食は?」と聞いてきました。
虐待や育児放棄、障害ある子… 自立へ「家庭を知る」ことの強み
施設でも大切に養育されているし、集団生活が向いている子もいますが、家庭のことを知ることは、その子が自立していくうえで強みになると思います。
里親は、周りから特別な目で見られることが多々あります。「自分の子でさえ育てきれないのに」「人の子だから難しいんじゃないか」「一生、面倒見るの」などです。
養育里親と養子を勘違いされることも。制度そのものをきちんと知っている人があまりいません。
義務教育の教科で児童福祉を学んでもらいたい。そうした子どもたちがいることを知るのは、必要なことだと思います。
乳児期に虐待や育児放棄にあった子も、かつて養育しました。障害もあったし、大人との愛着形成もできていなかった。向き合うには本当に根気がいりました。今は障害がある子が保護される割合も増えています。
共働き家庭でも、ケアが必要な子を受け入れることはできると思います。私は里親になった時、保育所を運営していました。里親が働く姿を子どもが見て学び、得ることもあるでしょう。
預かった子どもに問題行動が見られ、養育が大変になることもあります。そんなときは児童相談所が相談に乗ってくれます。まずは児童相談所の窓口をノックしてみてほしいです。(足立菜摘)
誰もが当事者になり得る 過渡期の里親制度、記者は考えた
1年前、医療的ケア児の里親になった人がいると聞いた。どんな家族なのか、ずっと気になっていた。
毎年10月は「里親月間」…
- 【視点】
里親という言葉はずいぶん耳にするようになりましたが、制度についても、実際の暮らしについても具体的には知らない人が少なくないと思います。そうした状況で、里親制度を理解するきっかけとなる素晴らしい連載でした。子どもは大人の力を借りなければ生活す
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