戦中のアンコール遺跡、浮き彫り 京都・花園大、写真151枚発見
太平洋戦争中にカンボジアの世界遺産アンコール遺跡群を撮影したとみられる写真が京都市の花園大学の図書館でみつかった。写真は縦約12センチ、横約15センチの紙焼きで151枚。京都の真宗大谷派(本山・東本願寺)が派遣した東本願寺南方美術調査隊が撮影したものとみられる。
同図書館の司書が昨年6月末、書庫の未整理の棚で、箱に収められた状態で一連の写真を発見した。箱には「『カンボチヤ』 アンコール ウッド 写眞 百五拾葉 花大」「撮影者 野村直太郎氏 33.6.14」と書かれていた。
写真には、アンコール王朝(クメール王朝、9~15世紀)の代表的な寺院遺跡、アンコールワットの全景を飛行機から撮影したものや、王都遺跡アンコールトムの中心寺院バイヨンの巨大な尊顔塔群を撮影したものなどが含まれていた。写真の裏には撮影した場所や対象物などが鉛筆で記されていた。
なぜ花園大に? 深まる謎
仏教教団の東南アジアでの活動に詳しい大澤広嗣・文化庁宗務課専門職によると、真宗大谷派は1942~43年、国策協力の一環で学術調査を通じて南方進出を図ろうと、画家や仏教美術の専門家、写真家、僧侶など12人からなる東本願寺南方美術調査隊をアンコール遺跡群に派遣。絵画模写30点や多数の拓本のほか、写真1千枚を持ち帰ったとされる。花園大の資料に記された撮影者の野村直太郎はこの調査隊の写真班の一員だった。
調査隊の帰国後、資料は学界…
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- 【解説】
大阪生活文化部時代の同僚だった久保記者の記事。彼は3年前にも同じ探検隊が残したアンコール遺跡のガラス乾板の発見をスクープしましたが、今回見つかったのは紙焼き写真。その一部はガラス乾板と重複していますが、100枚以上が新発見の写真です。太平洋
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