カザフスタンの抗議活動、全土に拡大 デモ隊と衝突で警察ら8人死亡

モスクワ=喜田尚
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 ガス価格の値上げを機に中央アジアカザフスタンで抗議活動が全土に広がり、内務省は5日、デモ隊との衝突で警察官ら8人が死亡したと発表した。地元からの報道によると、最大都市アルマトイで行政庁舎や空港などが襲撃を受けた。トカエフ大統領は沈静化のため非常事態宣言を全土に拡大し、ロシアなど旧ソ連6カ国の集団安全保障条約機構(CSTO)に支援を要請したと明らかにした。

 トカエフ氏は5日深夜にテレビ中継された演説で自らが同国の安全保障会議議長に就任したことも明らかにした。同議長はこれまでソ連からの独立から2019年まで政権に就き、辞任後もトカエフ政権に影響力を行使してきたとされるナザルバエフ前大統領が就いていた。ナザルバエフ氏の今後の地位は明らかにされていない。

 カザフスタンでは新年から市場経済拡大の一環で液化石油ガス(LPG)の価格が自由化され、販売価格が2倍になり、2日からカスピ海沿いの西部地域で始まった市民の抗議が全土に広がった。

 4日にはソ連からの独立時に首都だったアルマトイ中心部で警官隊との大規模衝突に発展。トカエフ氏は内閣の総辞職を受け入れ、期限付きでLPGなど燃料や食品に価格調整を許可する方針を示したが、抗議は収まらなかった。

 一部で反ナザルバエフ氏のスローガンが叫ばれたとの情報もある。

 トカエフ氏は5日深夜の演説でデモ隊について「武器が置かれた施設を占拠している」などと批判。アルマトイ郊外で軍の空挺(くうてい)部隊と戦闘になっているともし、「最大限に厳しく対応する」と述べた。

 トカエフ氏は19年、ナザルバエフ氏の辞任を受けて大統領に就任。その後、首都の名称がそれまでのアスタナからナザルバエフ氏の名前であるヌルスルタンに変更された際には、アルマトイなどで抗議の動きも伝えられた。地元メディアは5日朝、トカエフ氏が今回のデモの沈静化を図る中で治安機関幹部だったナザルバエフ氏のおいを解任したと伝えていた。(モスクワ=喜田尚)

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2022年1月6日9時10分 投稿

    【視点】今もカザフスタンの実質的な最高指導者と言えるナザルバエフ前大統領の絶対的な権威が大きく揺らいでいます。ナザルバエフ氏が、大統領退任後もとどまっていた安全保障会議議長の座を退いたことは、混乱の責任が及ばないようにするための措置という見方も出来