元生徒「先生がうそ、悔しい」 いじめ「ない」と発言の元校長ら謝罪

堤恭太
[PR]

 いじめで不登校になった埼玉県川口市立中学校の元男子生徒(19)が学校や市教育委員会の対応が不適切だったとして市を訴えた損害賠償訴訟で市側が先月、敗訴したことを受け、茂呂修平教育長や当時の校長らが6日、元生徒宅を訪ねて元生徒本人に謝罪した。元生徒側も謝罪を受け入れた。

 この日、謝罪したのは茂呂教育長と当時の市教委の担当者3人、当時の学校関係者である松崎寛幸元校長、元教頭、部活動の元顧問教諭の計7人。

 茂呂教育長は元生徒に「中学時代を苦しいものにして申し訳ない。2度とこのようなことを起こさないことが、思いに報いることだと思っている」と頭を下げた。

 元校長は「早期に対応を取るべきだったと深く反省している」。元顧問教諭は「引っ張ったり、たたいたりして本当に申し訳ない。サッカーが好きで入部してきたのにサッカーをやらせてあげられなかった」と謝った。

 市教委は、いじめの発生を知りながら重大事態として調査せず、元校長も「いじめがなかった」と発言していた。元生徒は元校長らに「文部科学省や県教委になぜうその説明ばかりしたのか」などと質問。最後に「いじめられたことより市教委や元校長、元顧問の先生にうそをつかれたことの方がすごく悔しいし、つらいし、苦しいです」と話した。

 元生徒側は昨年7月、市を相手取り、いじめに関する公文書の訂正を求める訴訟を起こしている。この件について市教委側は「検討しているので時間がほしい」と理解を求めた。

 市側の謝罪を受けて母親の森田志歩さんは「いじめ事案が起きた当初から話がつくられていた最悪の事件。(市教委まかせにしないで)市として再発防止を講じるために、原因究明や検証をしてほしい」と話した。

 元生徒は「楽しく過ごせるはずだった時間や友達をたくさんなくした。今でも毎日薬を飲まないと過ごせない。失ったものを全て返してほしい」とコメントした。(堤恭太)

  • commentatorHeader
    神内聡
    (弁護士〈スクールロイヤー〉・高校教師)
    2022年1月9日11時9分 投稿

    【視点】この事件の背景には教職員のいじめ防止対策推進法に関する理解の浸透が不足していたことがあります。 端的に言えば、いじめ防止対策推進法を甘く見ていたということです。 私も現場で教員をしていますが、いじめ防止対策推進法の内容を理解すればするほ