スーパードライ、36年目の「刷新」 ビール大手「本物」に回帰

山下裕志
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 発泡酒でも第3のビールでもなく、本業の「ビール」に再び力を入れる――。ビール大手4社が6日公表した今年の事業方針で、こんな考えをそろって示した。ビールの酒税が2020年秋に減税されたほか、コロナ下での「家飲み」の動きもあって、家庭でビール回帰が進む。各社はこの流れをとらえ、縮小が続くビール系飲料の市場を活性化させたい考えだ。

 アサヒビールは、1987年発売の看板ビール「スーパードライ」を「初めてフルリニューアルする」と打ち出した。「辛口」の特徴は残しつつ、製法を変えてホップや発酵由来の香りを加えた。缶のメタリックなデザインにも手を加え、中央部は光沢が少ないマットな質感にした。2月中旬以降に生産を始め、「ドライ」が最初に世に出た3月17日には店頭の切り替えを終えたいという。

 「ドライは消費財としては圧倒的にナンバーワンの量を持つブランドだが、じり貧であることは否めない」。塩沢賢一社長は記者会見でこう語った。かつてアサヒの経営を押し上げたドライの販売量は、ピークの00年に1億9170万箱に達したが、21年は飲食店向けの低迷もありピークの3分の1以下に落ち込んだ。同社にとって「ドライ復活」は急務だ。

 迎え撃つ最大手のキリンビールは、昨年発売したクラフトビール「SPRING(スプリング) VALLEY(バレー) 豊潤〈496〉」のPRに力を入れる。従来の大手の商品は似た味わいが多かったが、選択肢を増やして多様な消費者ニーズに応える。比較的単価の高いクラフトで利益を生むねらいもある。堀口英樹社長は「クラフトの市場拡大がビール類市場の再成長には欠かせない」と語った。

 キリンによると、国内のビール系飲料(ビール・発泡酒・第3のビール)の21年の出荷量は前年比約5%減で、17年連続で縮小した。「家飲み」需要が高まったものの、飲食店向けの落ち込みを補えなかった。

 一方、サントリービールは今年を「本格的な業務用市場の回復元年」と位置づける。健康意識の高まりを受けて投入した「糖質ゼロ」の缶商品「パーフェクトサントリービール」をたる詰めし、3月からは飲食店でも飲めるようにする。

 サッポロビールもおひざ元の恵比寿ガーデンプレイス(東京)に、看板ブランド「エビス」を体験できる施設を23年に開業する計画だ。(山下裕志)