島の無念、再生 刻み40年余 郷土愛から

池田良
【動画】島の無念、再生刻む。安岐正三さんの40年=池田良撮影
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 A4のファイルと、膨らんだ茶封筒が居間の壁にびっしりと並び、積まれている――。日本最大規模の産業廃棄物不法投棄事件に揺れた瀬戸内海の豊島(てしま)(香川県)。ここで島の再生に尽力する安岐正三さん(70)が主に記録を続けてきた。

 1980年代初めから現在までの事件の歴史と活動を書き残した。ナンバーは3桁に達し、数が若いほど色あせている。共に活動した住民の7割は亡くなった。

 産廃91万トンは5年前に島外へ運び出された。汚染された地下水も浄化されて排水基準に達したことから、今月には海への流れ込みを防ぐ340メートルの壁の撤去が始まる。県によると、これまでの総事業費は820億円にのぼるという。

 「事件は環境保全の機運や法整備の先駆けとなった。小さな島の出来事で片付けないよう、事実をしっかり刻みたい」と安岐さんは話している。(池田良)

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