都市ガス大手の東邦ガス(名古屋市)は6月、自社で開発した鍋を売り出す。沸点を下げた「減圧鍋」で、食材に味がしみやすいとアピールする。
料理の楽しさを知ってもらうことで、ガスの利用増につなげるねらいだ。
東邦ガスは、コンロメーカーがつくった鍋の販売は手がけてきたが、自ら開発したものを売るのは初めてだ。都市ガス大手が鍋づくりに乗り出すのは、異例の新規参入といえそうだ。
その背景をさぐると、ガス業界が直面する厳しい現実も見えてきた。
はじまりは2018年秋にさかのぼる。
自動炊飯機能つきガスコンロの教訓
東邦ガス技術研究所の「家庭用技術グループ」は悩んでいた。
自動炊飯機能つきのガスコンロが世に出回って10年ほどたつのに、その機能が思ったほど使われていないのだ。家庭向けガス関連製品の技術・営業支援を担当する部署として、見過ごせない問題だった。
ボタンを押すと火がつき、鍋…
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら