人口増も人口減も税収増のなぞ 古い家屋も空き家もかかる固定資産税

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松浦新
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現場へ! 固定資産税と廃虚④

 北海道旭川市の一帯は、地元で豊富にとれる木材を利用した「旭川家具」の産地として知られる。

 東隣にある東川町でたまたま食事をしたレストランの横に家具工場があった。1983年に廃校になった旧町立第五小学校を譲り受けて起業した「北の住まい設計社」だった。見学を申し込むと、ファクトリーマネージャーの森山吉朗(44)が案内してくれた。

 かつて体育館だった工場では、2人の職人が椅子を作っていた。地元の木材を使い、すべて手作りだという。まもなく築100年を迎えるが、窓や床材などは当時のまま。窓からは周囲を囲む木々が見える。外は雪景色だが、中は端材を燃やすストーブで暖かい。ここで働く14人の職人の半数以上が同町に住みたくて移住してきた。

 同町は町外への情報発信に熱心だ。たとえば、子どもが生まれると椅子をプレゼントする「君の椅子」は、毎年デザインを公募し、町内の工房で手作りされる。デザインは全国から応募があるだけでなく、2019年にはスウェーデンのデザイナーが選ばれた。

 1985年には「写真の町」を宣言し、94年から「写真甲子園」を開いてきた。全国の高校写真部が参加し、その中から毎年18校が選ばれて同町を舞台に写真を撮り、全国一を目指す。写真部員らの目標になっており、これをきっかけに移住した人もいるという。

 大雪山系の雪解け水が豊富で米づくりも盛んだが、酒蔵がなかった。そこで2019年、町が建てる酒蔵の運営会社を公募した。岐阜県で140年以上続く「三(み)千(ち)櫻(ざくら)酒造」に決まり、昨年1月、地元米を使った新酒が初出荷された。

 工夫をこらしてまちづくりをする同町には移住者も多く、人口は1990年の約7400人から千人余り増えた。北海道第2の都市の旭川市の隣にもかかわらず、昼間人口が夜間人口を上回り、同町で働く人が多いことがわかる。

 人口増に伴って増えたのが、建物や土地などにかかる固定資産税収だ。総務省によると、2020年度の同町の家屋からの税収は約2億6千万円で、1990年度のほぼ倍だった。土地からの税収は約1億円で、2・6倍になった。

 これは移住者らが家を新築し…

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